ブリスター包装の観点から。
ブリスター包装の観点から言えばどうでしょうか? ブリスター包装の場合を見ていると、ブリスター包装から別の包装形態へ変えるという流れがあるようです。
その一つが、シュリンク台紙と言われている形態です。
シュリンク台紙とは、台紙に筒状のシュリンクフィルムを貼付け、フィルム内にボトル容器などを装入し、温風等にてフィルムを収縮させるという包装様式です。
この方法は、20数年前に開発された包装形態で、その当時はあんまり普及しなかったようですが、ここにきて増えつつあるようです。 最近では、化粧品メーカーで結構採用されていて店頭でも頻繁にみられるようになりました。
シュリンク台紙のセールスポイントは、プラスチックの減量と包装資材のコストでしょうか。 ブリスター包装よりも資材代が抑えられるという点を盛んにアピールされているように見受けられます。
確かに、資材代はかなり削減できるようなのですが、大きな問題があります。
それは、フィルムへの装入にかなりの手間がかかるという問題と、台紙から引きちぎられる可能性が高いという安全上の問題があります。 採用される場合には注意してくださいね。
また、ブリスターという包装形態はそのままにして、成形容器自体を生分解性のものに変えるという取り組みをされているところもあります。 ただ… 生分解性は、現状完全に分解されて溶けるわけではなく、〝細かく砕ける〟要素が強いため、マイクロプラスチックを助長してしまう恐れがあるのは否めません。 個人的には、あまり有益な方法ではないと考えます。
これは、ボク個人の見解ですが、ブリスター包装の絶対数は確実に減る方向にあると思っています。 一部は紙箱などへシフトし、また一部は、シュリンク台紙のような形態へ変わっていくだろうからです。
過剰な日本の包装事情を改める。
環境問題を考えるにあたっては、そもそもの〝包装事情〟を考えていくべきだと思います。 それは、日本特有な〝過剰包装〟の側面です。
ある種の製品においては、ボトル(容器)包装の上からブリスター包装をしているケースがあります。 ボトル包装として既に包装が成り立っているにもかかわらず、訴求効果の目的のために、さらに包装を加えているのです。
容器の表面を保護するのであればブリスター包装まで行わなくとも、シュリンクフィルムだけで十分ですし、それだけでプラスチックの使用量の削減は達成できます。
また、台紙に能書きを記載する必要があるという理由なら、それは〝スマホファースト〟で考えれば対策ができます。 容器本体にQRコードを配して、詳細は個別のサイトで動画なり、文章なりを読んでもらうにすればいいのです。 そうすれば、台紙に記載するよりももっと多くの情報を提供することができます。
この点は、シュリンク台紙を使ったとしても過剰包装に変りありません。
ただのシュリンクならフィルム部分のみリサイクルに回すことができます。 しかし、シュリンク台紙の場合でも紙とプラスチックの両方を使用するため、リサイクルは難しくなるのです。
ともあれ、ボトル包装の場合は、ブリスター包装と併用しなくても、それ単体で成立できるのですが、それ以外の製品に関して言えば、ボク自身は、先に挙げた3つ目の〝リサイクル率を高めること〟がベターなのかなと思っています。
リサイクル率を高めるための分離性で言うと、台紙に差し込むタイプのスライドブリスターなら以前から紙とプラスチック部分の分離はすごく容易です。 が、〝プラスチックの使用量を減らす〟というミッションからは少し逆行してしまいます。
プラスチックの使用量という点で言えば、溶着タイプのブリスターでは、スライドブリスターに比べ、その使用量はグッと少なくなり、バイオマスなどに置き替えれば、さらに有効なのかもしれません。
しかし、台紙とくっ付けてしまうためリサイクルに向きません。 その点でミッションクリアにはならないのです。