身近で用いられているブリスター包装。 でもそれって、どんな包装なの?
_ 改めて、書いてみました。
こんにちは、
大阪・柏原でブリスター包装機をオーダーメードで手掛けています。
ブリスターパック・ラボ、担当のけたろーです!
さて…
ブリスター包装とは?
ブリスター包装とはどんな包装なのかというと…
そもそも、【ブリスター:Blister】には、〝水ぶくれ〟とか〝水泡〟という意味があります。 また、戦闘機のコックピットの風防にあたるガラス張りの膨らみの部分、あれもブリスターと言われています。


ブリスター包装には、「ドーム型の透明の容器」が使われていて、それが〝ブリスター〟をイメージさせることから〝ブリスター包装〟と言われています。
ちなみに、ドーム型の透明の容器の材料としては現在ではPET材が広く用いられていて、真空成形にて容器が作られます。
少し、余談を言うと、その昔はPETよりも〝塩ビ〟が一般的でした。 理由は、その当時は安価で、成形しやすく衝撃にも強く(割れにくい)、溶着も行いやすかったからです。 しかし、焼却時に発生するダイオキシンの問題が叫ばれるようになってから塩ビ素材が敬遠され、PETが主流になりました。
PETはご存じの通り、PETボトルで使われているPET(POLY ETHYLENE TEREPHTHALATE;ポリエチレンテレフタレート)です。 PETは割れやすいのが難点でもあるので、取り扱う中身の商品によっては今でも塩ビが使われている場合もあります。
ブリスター包装の種類
ブリスター包装は〝単一〟の包装形態ではなくて、ざっと4種類ほどの種類があります。
スライド型
スライドブリスターと呼ばれるブリスターの包装形態です。 別名:差し込み式。
容器に台紙が差し込める〝溝〟を形成し、その溝に厚紙等のカバー材を差し込んでパッケージとします。 包装作業時に機械設備がいらないというメリットがあり、日用品、文具、化粧品などに広く用いられています。

なお、作業面では機械設備が不要な反面、包装資材(ブリスター容器)で考えると、成形容器に〝溝〟を形成する必要があるため少し割高になります。
また、差し込んだ台紙をステープル(ホッチキス)やテープで留めるという簡素な封かん形態であるため、中身を容易に抜き取られやすく、改ざんされやすいという難点があります。
ちなみに、改ざんされやすい理由から海外ではスライドブリスターは禁止になっている場合があり、盗られやすいパッケージを採用しているとのことで、メーカー側へペナルティが課せられる… という話もあるとか。
海外貿易を考えられる場合は注意が必要です。
溶着タイプ
台紙と容器を接着させた形式のブリスター包装。 スライドブリスターと並んで、広く用いられています。
台紙表面にホットメルトという熱で溶ける接着剤を塗布し、容器と台紙とを接着(溶着)させることでパッケージとします。 スライドブリスターと異なり、台紙と容器とがくっついているため、改ざんされにくいという特徴をもっています。 また、密封構造になるため、湿気を嫌う製品にはベターです(ただし、溶着方法に依ります。)

パッケージ作業を行うためには溶着を行うための機械設備や治具が必要となることから、一部では敬遠されるキライがあります。 が、包装資材からみれば、スライドブリスターと異なり溝を形成する必要もなく、また、スライドブリスターと比べて成形時の取り数も多くなることから、資材単価を抑えることができます。

設備投資はいるものの、長期的な包装作業を考えるとスライドブリスターより大幅なコストダウンが図れます。
ちなみに… 本包装の呼称(呼び名)として、『ブリスター包装』『ブリスターパック』『ブリスターパッケージ』または、単に〝ブリスター〟といった具合で数種の呼び名で呼ばれていますが、その内容は同じです。
クラムシェルタイプ
貝(シェル)のような様相をしたブリスター包装。 嵌合(かんごう)タイプのブリスターとも言われています。
容器にはヒンジ(曲げる)部分があり、ヒンジにて容器を折り曲げることで表裏面ともにブリスターにて形成されます。 封かんは、嵌合にて行います。 真空成形の精度がまずい場合は、うまく嵌合できないリスクがあります。(※ 業者に依存するようです。)
※ 嵌合とは、『はめあわせ』のことです。 はめあわせの位置がずれてしまうと、きっちり封ができないという問題が発生します。 それなりのブリスター製作時の金型技術や真空成形の技術がいります。

美観性から、化粧品などで広く用いられています。
2つ折り式 (シェルパック)
嵌合させるクラムシェルタイプを簡素化した、2つ折り式のタイプ。
トリプルパック
3つ折り型のブリスター包装。 全周囲ブリスターになるため、フィギアなどといった商品に広く用いられています。
番外: PTP包装
カプセル剤などクスリ用途のパッケージとして広く用いられているブリスター包装。 【ブリスター包装機】で検索すると、PTP用途のブリスター包装機がヒットする確率が高いです。
ブリスター包装で言えば、上記までに紹介した〝日用品〟や〝雑貨〟用途のブリスター包装よりも、むしろ、PTPを指す場合の方が大きいです。 ブリスター=水泡 というイメージは、カプセル錠の方がイメージがつきやすいですもんね。
PTPとは、Press(Push) Through Packaging の頭文字をとった包装形態を指していて、その名の通り〝押して出す〟という形態の包装を指してます。 〝押して出す〟を実現させるために、カバー材にはアルミフォイルが用いられています。

ブリスター包装の最近の動向。
私の知る限りの情報なのですが…
SDGsで環境が叫ばれ、マイクロプラスチック等への問題が取り上げられるようになり、脱プラが提唱され始めたころから、ブリスター包装が少し下火になった感を受けています。
また、溶着タイプのブリスターでは、プラの部分と台紙の部分がきれいに分別できないので… という点も理由としてありますよね。 取り扱ってる立場で言えば、哀しい出来事なのですけど。(汗)
そんな中、ブリスター包装への〝対抗馬〟として出てきたのが、シュリンク台紙と言われる〝台紙にシュリンクフィルムを貼りつけた〟包装形態です。
ブリスター包装と同じような〝吊り下げ型〟の包装で、フィルムを使うということでブリスター包装よりもプラスチックの使用量が格段に少なく、コストも安いということを売りにキャンペーンされた感を受けます。
現・時代的にプラスチック(樹脂)を多用するブリスター包装が敬遠されたというか、ブリスター包装をターゲットにした乗り換えキャンペーンが貼られたというか… その所為か、特に、化粧品の類でブリスター包装からそちらへ移行されている商品も多くなったようです。
2重包装? 過剰包装?
余談ですが…
よくよく市場をみてみれば、『2重包装』をしている場合が多いですよね。 特に、化粧品などでみれば液体製品は容器(ボトル)に収容されていて、この時点で〝容器包装〟としての【包装】が成立しているわけです。

その『容器包装』をブリスター包装やシュリンク台紙を使って、さらに包装しているわけですよね。 要は、二重包装になっているわけです。 現にPETボトルなんて、そのままで販売されているわけで。 シャンプー・リンスでも同じくですよね。
とするなら、これは過剰包装といっても過言ではないはず… だと思えるのです。
訴求を考える上で、製品が小さいから更に包装せざるを得ない… などということを言われるのだと思いますが、〝環境問題〟を言うのであれば、ブリスターだのシュリンク台紙だのを使う以前に、その辺りを改めるべきなんじゃないのか? とも思ったりします。
台紙の2重化を推奨します。
これも余談なのですが…
溶着タイプのブリスターでは、プラと台紙が分別しづらいという点がかねてより指摘されていました。 分別しづらいから、リサイクルしづらい… つまり、エコじゃない。 という流れです。
一方で、スライドタイプのブリスターやクラムシェルのブリスターでは、紙とプラを容易に分別できるものの、〝減プラ〟… いわゆる『プラスチックの使用量』の観点からすれば、若干逆行するところもあったりして…
というわけで、うちが推奨しているのが台紙の2重化です。 2枚の台紙の間に容器をはさんで〝ブリスター包装〟の形態とするという方法です。 プラの部分を直接溶着しないので、分別が容易になります。
また、この方式では紙と紙をくっつけるため、従来より使用が難しいとされる〝再生PET〟や〝バイオ系のPET〟も扱うことができます。

エコの観点から如何でしょうか? (欧米などでは、主流になりつつあるようです。)
どの種類を採用するか?
概ね、ブリスター包装を採択するという時点で、ブリスター容器のメーカーさんへ相談に行かれている場合が多いのだと思えます。
でも、上記までに挙げたどの種類のブリスター包装を採用するか? の採択については、〝自社内〟で十分に検討された方がいいです。
ブリスター包装の種類に関して言えば、パッケージとしての見場(外観)もさることながら、注意すべき事がらがあります。 それは、ずばり!
【 作 業 性 】
です。 なぜ、『作業性』が注意すべき事がらなのか? というと、それは〝包装コスト〟に直結しているからです。 どれだけ包装資材のコストを抑えることができたとしても、作業性がまずければ、かえってコストが上がってしまうのです。
日々の生産計画がそれほど多くない場合には、特に気にされないことなのかも… しれません。 しかし、仮にその状況であったとしても、作業性は把握しておくべき事がらです。 それはなぜかというと、作業性の良し悪しは〝人手の問題〟にも絡むことでもあり、それはコストそのものでもあるといるからです。
設備がいる、いらないに関わらず、包装作業に対してどれだけの時間と人がかかるのか? その点も含めてしっかり考察し、決定すべきだと思います。
包装作業とは日々の作業です。 すなわち、それは累積していきます。 毎分、毎時間、毎日、毎月、毎年… スタッフが如何に作業性良く、効率よく作業できるか? ということにも大いに配慮が必要ですよね。
まずは、お気軽にご相談ください!
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