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ブリスター包装でもトレーサビリティは対応しておくべきテーマ。

トレーサビリティについて、皆さんはどんな風に対応されていますか?

こんにちは、
大阪・柏原でブリスター包装機をオーダーメードで手掛けています。
ブリスターパック・ラボ、担当のけたろーです!

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さて、主題の件。

包装にとってトレーサビリティは大切な要素。

トレーサビリティが叫ばれだして久しいですが、トレーサビリティへの対策はされていますか?

トレーサビリティとは、追尾・追跡性のこと。 端的に言えば、その製品がいつ、どこで作られたのか? ということを追跡できる状態になっているかどうか? ということです。

なぜ、トレーサビリティが必要か?

ではなぜ、トレーサビリティが必要か? と言えば、言わずもがな、企業としての〝有事に備える〟ということです。 

例えば、出荷した製品に何らかの異常が発生していて、そのクレームがあった場合、その製品の個体識別ができないと対応が難しくなってしまうからです。 

いつどこで作られたのか? ということが把握できれば、素早く対応することができます。

同一製品を複数の工場で生産しているのであれば、工場としての責任の所存を明確にすることができます。 また、コードを付加しておくことで原材料の管理などへも紐付することができます。

近年では、ネット経由で販売されることも多くなってきました。 トレーサビリティを容易にしておくと、仮に転売目的でのネット販売を禁止しているような場合に非常に有効な手段に成りえます。 

余談ですが、歯ブラシを製造している会社さんとお付き合いがあるのですが、そこは歯ブラシ自体にコード(識別子)を付加しているそうです。 パッと見ではわかりませんが、クレーム等があった場合に製品を回収すれば、〝いつどこで? どこに向けて販売したか?〟という情報が瞬時にわかると言われていました。

コーディングルールを規定して、追跡。

トレーサビリティを可能にするというための方法として身近なところで言えば、ロットコードですよね。 

製品にロットコードを表記しておくことで、その製品への追尾・追跡が可能になります。 コーディング、つまり、コードの体系を社内的に規定しておくことによって、製品の生産地や生産した日付などを認識することができます。

例えば、「202311A」などというコードを表記したとして、前8ケタを生産月(YYYYMM)、末尾を工場コード(Aであれば〝xx工場製〟)などというように社内的なルールを規定しておくわけです。

こうすることで、個々の製品、もしくは、同月に生産された〝製品群〟を容易に把握できるようになります。

死活問題になりつつ。

トレーサビリティに関して、対応しておくことが絶対か? と言えば、企業側の判断によるところが大きいのでしょうけど、もしもの時の対策や、それを製造・製作している企業側の規範を考えると、その製品を購入する側からすれば、対応されている方が安心感はあります。

なお、トレーサビリティとは対消費者のような対外的なことだけでなく、社内での生産状況や状態を把握する上でも必要不可欠な要素であることは言うまでもないです。

コード体系を内部流通と外部流通で別にするか、同一の運用で行うかは別にして、コードを付加しておくことで社内での生産工程を確実に追跡できるので、品質管理などを行う上では非常に有効な手段に成りえます。

近頃では、トレースできるかどうか? ということが、もしもの時の明暗を分ける要素にもなっています。 

どういうことか? と言えば、残念ながらクレーマーという存在がいるためです。 もしくは、悪意はなくても何かの拍子でクレームが入る場合があることは可能性としてゼロではありません。

そういった事柄が発生した時に、速やかに処理ができるかどうか? ということが、企業側の姿勢として試されているということは言うまでもないですよね。 

理想は、製品そのものへコードを付加していることが望ましいのですが、なかなか難しい場合もあります。 なので、最低限度は、どんな製品であれ包装上のいずれかに明記しておくのがベターです。

ブリスター包装でも同じ。

ブリスター包装の場合でいうと、化粧品や歯ブラシなどの日用品などの場合では、早くから対応されているような感をうけます。 化粧品などでは、品質管理を徹底する必要があるため製品そのもののみならず、ブリスター包装上でもロットコード等を記載して、対応されているところがほとんどです。 

一方で、雑貨品や工具類などは残念ながら、その対応はまだまだなようです。 

なお、ブリスター包装でコードを付加する場合は、台紙の表裏のいずれかの面に記載しておくのが一般的で、処理も楽に済みます。

手作業? 機械化? コード記載の方法。

ブリスターの台紙へコードを記載する方法としては、ゴム印などを利用して手作業で行う方法と、産業用インクジェットプリンターやレーザーマーカーといった印字装置を利用する方法があります。 また、印字を行うタイミングでは、包装前に予め印字を行っておく方法と、包装過程、もしくは包装後に行うという方法があります。

手作業で行うかどうかで作業性は変わってきますし、当然、包装前に印字するか、包装中・包装後でも作業性は異なってきます。

作業効率を考えると…

印字作業について、

ゴム印使って、捺印したら簡単やん! 安上がりやし!

なんてことを、現場を知らない経営者が安直に思われるのかもしれません。 実際にされているところもありますので、あんまり悪く言うつもりはありませんが… 

でも、ボクも実際に作業をしたことがあるのですけど、手作業での作業って、なかなか大変なんですよね。 回転式のゴム印を使って、コードを合わせて、台紙の裏面に捺印していくのですが、これがなかなか… 

歪んだり、滲んだり、かすれたりして。 失敗すると没。 綺麗さを求めると、何だかなという感じでイマイチでした。 

データ印のイメージ

捺印による対応が指示の受託作業だったので、文句も言えず…  ただ、器材として指示されたスタンプインクの乾きがあまりにもまずかったので、それは乾きやすいインクに変えてもらいましたけど、それでも作業性はまずかったです。

美観を考えるなら、手作業は・・。

ご存じだと思いますが、人による手作業って、作業者の性格や丁寧さ器用さがもろにでてくるので、〝ベテランが綺麗にやってくれてるから〟ということに胡坐をかいて、将来への策を何も講じないというのにはいささか… と思ってしまいます。

余談ですが、うちは産業用インクジェットプリンターなどの印字装置向けの付帯設備も手掛けています。 その中で、以前に、手作業で捺印作業させているのを改善したいということで、印字装置を作ったこともあります。 

その際は、

手作業なので、捺印の出来にバラつきがあって、見栄えがよくないんです。 なので、機械的になんか対応できませんか?

という依頼でした。 

外箱ならそれほど美観は気にすることもないのでしょうけど、ブリスター包装部分となれば話は別です。 それが製品になるので、捺印した印字が汚いと製品としての美観が損なわれてしまいます。

使用するゴム印の材質やインクにもよりますが、インクが乾かず擦れて汚れる。 捺印時に歪んでしまう。 などといった問題が発生しやすいのです。 

データ管理をセットで考える。

ゴム印等での対応は番号の設定ミスが起きやすいという問題もあります。 それに加えて、ゴム印の運用には最大の弱点があるんです。 それは…

データの管理がやりにくい。

ということです。 

捺印時の履歴が残らないため、コードの設定ミスが起こった場合、把握できないという問題を抱えています。 

台帳を併用して管理するという方法も考えられなくはないですが、台帳自体への記載ミスや記入漏れなどを考えると、ゴム印と台帳の2重管理に成り、管理作業が煩わしくなってしまうのです。 なので、作業性の観点からみれば、得策ではないです。

捺印へのミスが起きると、その台紙は破棄ということになります。 つまり、ロスです。 こと、コードが月日や製品種別によって変わるという場合にはロスが出やすいです。 また、予め、捺印を行い、それをストックする場合には、異なるコードが混入してしまうリスクも否めないです。

ということを考えると、産業用インクジェットプリンターやレーザーマーカーなどといった機器を使う方が断然、操作性や作業性はあがります。

加えて、そういった機器はデータをデジタル管理でき、作業履歴も残るため、後のデータ参照やデータの設定ミスなどが起こった際の対応がやりやすいという利点もあります。

どのタイミングで印字するか?

印字を行う際には、予め、台紙に印字をしておくか? もしくは、包装過程で印字を行うか? はたまた、包装後に印字を行うか? の3パターンが考えられます。 

個人的な意見をいうと、包装過程で印字を行うのがベターだと考えます。 なんでか?

まず、包装前に印字を行う場合、印字枚数がよみずらいからです。 数量が少ないと当然、足らない分への対応作業が発生します。 逆に、余る場合にはロスにつながってしまいます。

包装後に印字を行う場合、印字を行う箇所にもよりますが作業性は内容物に依存する傾向があります。 

産業用インクジェットプリンターを用いる場合、印字を行うためには製品を搬送させる必要があります。 台紙裏面へ印字を行うと仮定した場合、概ね、ブリスター容器はユニークな形状が多いため、搬送時に製品が傾いてしまうリスクがあります。 そうなると、綺麗な印字ができない可能性が生じます。 また、製品種類が多い場合には、その都度、印字用の搬送を調整する作業が発生するため、作業性は悪くなります。

ブリスター包装過程で印字する。

そういったことを考えると、包装過程で行うのがベターです。 うちの場合、ブリスター包装過程で印字を行うことができます。 間欠停止中に産業用インクジェットプリンターのプリントヘッドをスライド移動させ、印字を行います。

ターンテーブルの場合、回転時に印字できるのでは? と思われるかもしれませんが、ターンテーブルは円(回転)運動であるため印字文字列にも円運動の影響が生じて、歪んだ文字になってしまうんです。(経験済…)

なので、うちではスライダを使用した印字方法を採用しています。 以下、事例動画です。

ターンテーブル型の場合

カルーセル(トラック搬送)の場合 その1。

カルーセル(トラック搬送)の場合 その2。

インクジェット? レーザー?

印字装置をどうするか? という点について、過去にはホットプリンタという印字装置を組み込んで対応したことがあります。 ホットプリンタとは、金属製の専用の活字をセットして、それをヒータで熱して、インクリボンにて熱転写するという印字機器です。 ちなみに、ホットプリンタは今も使われている方式です。 

その当時は、インクジェットが少々高価なこともり、この時はお客さんの希望でこちらの採用となりました。 対応してみて分かったのですが、正直、あまりお奨めではありません。 

なぜ、お奨めしないのか? というと、理由は2点あります。 一つは、活字を用いた方式なのでデジタル管理できないこと。 2点目が、活字のセット時の作業性が悪く、印字ムラが起きやすいという点です。 現代的な流れで言えば、主流は、産業用インクジェットプリンターか、レーザープリンターを用いるのが一般的です。 また、価格帯も以前と比べて比較的リーズナブルになってきているので、検討するのであればいずれかです。

では、どちらがいいのか? と言えば、一長一短があり、正直なところ好みの問題なのですが、ザクッと比較を記載しておきますね。

消耗品操作性メンテナンス性文字
産業用インクジェットインク・溶剤良好やや美麗
レーザーマーカーなし良好美麗

消耗品がいらないという点を鑑みると、レーザーが勝っています。 ただ、レーザーの場合は、台紙表面をレーザー光で焼き飛ばすため、紙粉の問題が発生します。 また、印字を行う場合には、印字面にインク等が塗られていることが前提となります。 無地の場合、焦げた格好の印字になるため鮮明さを欠きます。 

インクジェットは、その名の通りインクを使用するため、インクや溶剤の消耗品が発生します。 なお、消耗具合は使用環境によるため、その点を十分に検証する必要があります。 (暑い環境の場合、溶剤の揮発が激しくなるため消耗率も激しくなります。) また、インクを使うため周囲へのインクの飛散は免れません。 取扱い時にはインク漏れなども否定できないので、運用時にはそれなりの策が必要です。 

印字エリアが広域で、バーコードの印字も併用したい場合には、レーザーマーカーがおススメです。 ワイドエリア対応のレーザーマーカーを用いれば、据え置くだけで印字を行うことができます(ただし、集塵機などを設置し、ヒューム(印字時の煙)対策を行うこと)。

インクジェットでもバーコードの印字が行えますが、読み取り性などを考えるとレーザーの方が性能が上です。 なお、サーマル方式のインクジェットでは鮮明な印字を行うことが可能ですが、カートリッジが少々割高になるのと、扱いがシビアになるのでブリスター機体上での運用には、あまりお奨めしません。

印字時に注意したい点。

インクジェット、レーザーのいずれの場合においても、〝臭い対策〟は行った方がよいです。 

インクジェットについて、最近では臭いの少ないインクもでているようですが、独特の匂いがするので作業者によっては気分が悪くなったりする可能性が無きにしも非ずです。

また、レーザーの場合も同様、台紙上のインクを焼き飛ばすので独特の匂いが生じます。 また、インク成分によっては、レーザー照射の熱と反応し、有害になってしまう場合もあるので注意が必要です。 

じん肺など、作業者への健康リスクを考えると、換気設備や集塵機といった機器を設置するなど工場運営側がそれなりの環境対策を講じるのがマナーです。 

結局のところ…

どんな製品を扱うにしても、トレーサビリティは確保しておいた方がよいです。 そのためには、包装過程で印字を行うという方法がボクからの最適解であり、その方法を提案します。


時短設計®な視点で、あなたの作業現場が、少しでもハッピーに快適になることサポートをしています。

ご相談は随時受け付けております! お気軽に。

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けたろーのアバター けたろー 包装機械相談士/時短設計®士。

包装機械相談士。時短設計®士。 先代よりブリスター包装機と関わり約40年余り。『人海的な手作業』が主流のこの包装業態に風穴をあけるべく、もっとブリスター包装機械のことを知ってもらいたくてこのサイトを立ち上げました。包装作業は毎日のことなので、なるべく、その負荷を減らせるようできればと思ってます。 人手不足や働き方改革が叫ばれている昨今。何かのきっかけになれば幸いです。 あなたの生産現場が、最高最善にハッピーになれますように。(*^-^)