ブリスター包装で、社会への貢献。
〝中身が見えない〟包装がほとんどの中、透明容器を使った〝中身が見える〟ブリスター包装は、中身が見えるということだけで消費者に対してわかりやすいというアドバンテージがあり、訴求力が高いというメリットがあります。 且つ、包装に係るコストも比較的リーズナブルであり、事業者にとってもうれしい包装形態のひとつです。
中身が見えるがゆえの「問題点」。
__ なのですが、ブリスター包装には致命的と言える〝かなり大きな問題〟を抱えています。
それは、
目の悪い方に対しては、とても扱いにくい包装であるということ…
です。 ではなぜ、そういう事が言えるのか?
それは、〝目が見える〟ということを前提、 で包装が考えられているからです。
致命的と言えるのが、中身をみせるために用いている透明の容器です。 目が見える健常者にとっては、『中身が見える』ことがメリットになりますが、視覚に障がいを持たれている人たちにとっては、商品の形状や素材などの中身を触って理解することができなくなるため、逆に、デメリットになっています。
ということを考えると、ブリスター包装の最大の特徴である『中身が見える』という点が、目に見えない方々にとっての最大のネックになっているのは否めないのです。
目の不自由な方にもわかりやすいパッケージ。
パッケージに点字を施すことで、目が見えない人に対しても、安心・安全な商品を提供できるようになるのではないか?
という考えの元、ブリスターパック・ラボでは、ブリスター包装を行う際にブリスター包装機械上で〝点字を打つ〟仕組みを考えました。
うちの商品には関係ない!
目の見えない方への包装としての配慮は、既に、シャンプー・リンスやお酒類、牛乳などといった製品で行なわれています。 が、全体をみれば、依然として少ないようです。
「点字を打つ」ということに関して、その反応は、哀しいかな
いい取り組みですね。 でも、うちでは…
という場合がほとんどです。 以前に、展示会に出展した際には、うちのブースに立ち寄られた方に
ええことやってるやん。 けど、
こんなもんは、団体に任せればええねん。
と言われました。 また、点字への取り組みを包装の団体や視覚障がいに関する団体に連絡し、相談したこともあってそのときは
それは、そちら側でまとめてからにしてください。
こちらでは対応致しかねます。
とあしらわれたこともあります。 そういった言葉を聞いたとき、『はぁ~』って、少し気分が萎えました。
うちの活動不足というのもありますが、結局のところ、どんな風にアプローチすればいいのか… 正直なところ、ちょっと悩んでます。
テレビにもでました。
点字の件では、多くの新聞社に記事にしてもらったのを始め、実は、ローカル放送なのですがテレビのニュースにもとりあげてもらったことがあります。
しかし、哀しいかな、新聞にしてもテレビでも、一過性。
1社ではどうしようもないのかな… と思ったのです。 ボクらの力量不足であるのは致し方ないことです。 とはいえ、障害を持たれている方がたにとっては、死活問題なのです。
増えつつある視覚への障害。
「視覚障がい者」というとまったく目が見えない方を想像されると思うのですが、実はそうではありません。
全盲の方ももちろんなのですが、それ以外にも、視力が弱い弱視の方や、色がつかみにくいという色盲、色弱と言われる方、見えていてもそれが鮮明でないとか、症状は多岐に渡ります。 また、そういった障がいは、生まれながらの先天的という場合や、事故や病気による後天的な場合があります。
現在では、例えば、糖尿病などのような成人病が起因で視覚へ影響が生じたというケースが増えていると聞きます。 また、交通事故などといった事故が原因で見えなくなったというケースもあります。
後天的な面での障がいが増えてきているという現実を知ると、『明日は我が身なのかも…』という思いと、自分が当事者になってしまう可能性もゼロではないかもという思いが、そこに生まれてくるのです。
あと、人間だれしも歳をとります。 高齢になるにつれ、目が見えにくくなる、あるいは見えなくなるというのもありますよね。
彼らの切なる願い。
新聞にとりあげてもらったとき、『目が不自由なんです』 という方からうちの会社へ電話がありました。 その彼女曰く、
製品に点字が入ってるのはあるものの、その表記はメーカーの名前であって本当の内容がわからないということ。 例えば、CDーRやDVDーRなど、外形が同じような商品では中身の判断がつかないということ。 また、点字で酒とはあるけど、それがビールなのか、酎ハイなのか、判断ができないということ。
「私たちはほんと困ってるんです!」 と、電話の向こうで切実に訴えられていました。
とはいうものの、うちは包装機械メーカーであって、製品や商品に携わっているわけではなく、商品メーカーさんが採用してくれない限り、普及は難しいんです… という旨をお伝えすると、『この活動、もっと続けてください!』と檄を飛ばしてくださいました。
電話での会話の中で、もっとも印象に残っているのは、彼らの仕事についての現状です。
身体障害や発達障害の障害では、まだ働き口がある。 でも、視覚障がいとなれば、すごく範囲が狭められて働けないのです… と。 たしかに、視覚障がいの場合で思えば、目が見えなくてもできるという仕事の範囲が「マッサージ師」くらいしか思いつかない… ということを思うと、結局、収入という面ではすごくマイノリティになってしまっているのは否めない。
彼らの働き方や働き口のに対する改善を含めた対応が必要なんじゃないのか? なんて、ことを思うんです。
企業側で「商品に点字を施す」などという視覚障がい者向けの活動を行っていくということを考えると、実際に目の見えない方を雇い入れ、彼らの助言でそれをよりよく広めていくという方法がとれるんじゃないか? となれば、彼らの雇用先ができるということに繋がっていくのでは?
__なんてことも思うんです。
コストをかけずに対応!
とはいえ… 包装ということに関して言うと、気になるのはコストなのだと思います。 うちは、包装に携わっているが故、コスト面の話題は結構な確率で聞いたりします。
こと、包装資材に関して言えば、すごく頷けます。 たかが、0.1円(1銭)と思ってしまいますが、その物量を考えれば、0.1円と言えど『されど』ですよね。 社会貢献ができるとはいえ、工場を運営する側からみれば、掛かるコストについては死活問題になりかねないです。
既存の資材を使うという発想。
まず、包装へ点字を施すということを考えると、予め点字を付けた包装資材を用いるという方法が考えられます。 しかし、この方法では、包装資材メーカー側に手間がかかるということで絶対的に資材単価が高くなります。
また、資材メーカーからすれば、納める製品種類ごとに点字を施す必要も生じるため、それにより資材点数が増え、また、それに応じた管理も必要になります。
このことは、包装資材メーカーにとっても包装作業を行う事業所にとっても、双方に作業負荷がかかってしまうことが考えられるのです。
次に、点字を施したラベルを製品に貼り付けるといった方法も考えられます。 が、この方法でも「ラベルに対する費用」と、『ラベルを貼り付ける作業』が包装コストとしてチャージされてしまうので、おのずと割高になります。
そこで、うちが考えた方法は、
既存の包装資材をそのまま流用し、点字を付加する!
という仕組みです。 なので、包装資材を含め、包装に関するコストへの懸念を払拭することができます。
つまり、
包装資材に係るコストや作業負荷をあげることなく、従来通りの資材コストで〝付加価値をつけた〟ブリスター包装を行うことができる
ということなのです。
合理的配慮への対応。
障がい者差別解消法により、障害のある方への〝合理的配慮〟などが求められている中、全ての人が平等に商品が扱えるようになれば素晴らしいなと思っています。
また、目が見えないということを、もう少し広い視点にたって考えてみれば、例えば、高齢になって目がみえにくくなるということについても同じようなことが言えるのではないでしょうか?
結局のところ、障害を持たれている方へ配慮するということは健常者にとっても使い勝手がよくなるということです。
さらに、こちらで詳しくお伝えしています。
まずは、お気軽にご相談ください!