でも逆の見方をすれば、それが誤った認識を植え付けてしまったとも言えます。
あくまで、その方式の中では最良最善であったというだけであって、他と比べて
どうかという判断にまで至らないのですから。
それに、むしろ、その方式が〝溶着の考え方〟に与えた影響の方が大きいです。
ブリスター包装での溶着の大前提は、熱で溶ける糊で部材をくっつけることです。
端的に言えば、その糊がなければつかないということです。
くっ付ける際のポイントは、糊への温度管理と溶着に要する時間の管理のみのはずで、
圧力はそれほど大きな問題にはならないはずなのです。
ところが、木型による多数個での溶着においては状況が一変します。
溶着の考え方が温度や時間ではなく、〝圧力〟に傾いてしまったのです。
それはなぜか?
どんな製品であっても、均一そうに見えても必ずバラツキは存在しています。
むろん、包材である透明容器や台紙でさえ、バラツキがあります。
1個づつ処理する場合にはさほど問題はなくても、複数個並べる場合には、
そのバラつきの所為で、必ず凹凸が発生します。
溶着する際には、熱板が均等に接触していなければ個々の糊が溶けないので溶着不良が
生じます。すなわち、凹凸がある状態では、一番低い〝凹〟の部分に合わせる必要があり、
凹凸を均等にするためには、それなりの圧力が必要になってくるというわけです。
この時の圧力は最低でも2トン。
板面が大きくなれば10トン以上の圧力が必要になると言われています。
それによって、ブリスター包装が〝溶着〟ということよりも、圧力で付ける〝圧着〟という
誤った認識を与えてしまったのは否めません。
ブリスター包装に携わるほとんどの人が〝圧着〟という表現をされるのも
ムリもないのかもしれませんね。
ちなみに、処理のイメージはこんな感じです。
〝その2〟に続きます。