このテーマに関しては、かなり以前のログでも書いてる… というか、以前から書き続けてるのですが…。
こんにちは、
大阪・柏原でブリスター包装機をオーダーメードで手掛けています。
ブリスターパック・ラボ、担当のけたろーです!
さて…
悩ましい問題。
シール不良問題…
それは、ヒートシール型のブリスター包装での【永遠のテーマ】といっても過言ではないかも。
シール状態に問題がない場合には、特に話題にはならないのかもしれませんけど、問題になると、それはそれは、大事になってしまう事がらなのです。

ちなみに… ヒートシールとは? なにかというと、『熱溶着』のことです。 シールとは、機密させること、あるいは密封させることをさしているので、ヒートシールとは『熱溶着』ということになります。
で…
熱圧着か? 熱溶着か?
なんぞいうつもりはないのですけど…
ヒートシール型のブリスター包装について、少し誤解というか、言葉違いなイメージを持たれている方が大多数だと思うので、伝えておきたいと思います。
それは定義的な側面に関してです。
業界関係者の間では、〝ヒートシール型のブリスター包装〟についてのことを「熱圧着」や、「圧着」という言葉で表現をされる場合が多いのですけど、それは間違っていると思うんですよね。
細かい話かもしれませんが、圧着にしても、熱圧着にしても、ブリスター包装でのヒートシールは〝圧力をかける〟だけでくっつくわけではないので、圧着ではないです。 もっとも、部材同士を馴染ませるという面で圧力は使いますが圧力がメインではありません。
〝熱〟を印可して、熱で溶ける接着剤を〝溶かして〟、部材同士を〝着ける〟ところから、『熱溶着』がふさわしい表現です。
というわけで、【熱溶着】という表現を推奨してます。w
ヒートシール型のブリスター包装。
『ヒートシール型のブリスター包装』を行っていく上での重要なポイントはいたってシンプルです。 それは、
着いてるか? 着いてないか?
ということです。 めちゃくちゃシンプル!
たぶん、ヒートシールに共通して言えることだと思うんですけど、結局のところ、めちゃくちゃシンプルなんですよね。
けど、それがなかなか、難しい… ということでもあったりします。
着かへんやんけ!!
作業をしていて、ときに、「着かない」という現象が発生する時があります。 で、この『着かない』現象が発生するパターンにも2、3つの頃合いがありまして…
着かないのタイミング その1。
まず、包装機械を導入して、溶着に関する機械的な条件が出ていない場合がそれです。
機械動作としての溶着を行ってみての部材のシール状況にもよりますが、この場合では、使用している温度帯がまずい とか、保持時間が短い とか、圧力が足りていない とかという問題が考えられます。
着かないのタイミング その2。
機械の調整が終了し、シールに問題がなくなって、ブリスター包装での生産が順調にできるようになって… しばらくすると、「着かない」というタイミングがやってくる場合があります。
それは、『台紙のデザインが変った。』というイベントです。

同一商品で、ブリスター容器のデザインも変わらず、台紙のサイズも変わらず、ただ、台紙のデザインが変更になった… という場合に時おり発生します。
この場合では、「機械的な条件は同一であるにもかかわらず」、以前からの台紙では問題なく、新しい台紙では問題が生じるというケースになります。
考えられる要因として、台紙の印刷インクと使用しているホットメルトの相性が悪い とか、デザイン変更を機に台紙の紙質を変えた とか、ホットメルトの成分を変えた とか、ホットメルトの乾燥工程を含め、台紙の制作工程に何らかの変更があった… ということが考えられます。
キーワードとなるポイントは『機械的な条件を変えていないのに着かない』という点です。
以前までは着いていたのに、新しいのでつかないということは、台紙に何らかのミスマッチが起きているということが言えます。
着かないのタイミング その3。
もうひとつが、容器の素材が変ったという場合です。 ヒートシール型のブリスター包装では、A-PETやG-PETと言われるPET材が使われるのが一般的です。 端的に言うと、着きやすいからです。
ところが、再生PETや、最近流行の生分解性のPET、バイオ系のPETになると熱溶着しづらいという現象が起きます。
環境対策も重要なのですけど、素材は安易に変えるべきではないんです…。 こと、社内のパッケージデザイナーの一存だけで決めるにはちょっとリスクが大きいです。
着かない! その時に。
「着かない」という現象が起きると、会社としては死活問題になってくる可能性があります。 そりゃ、その商品を販売していく上でも、着かない状態は『着いていない』ということで、パッケージとして成立していないということになるわけで…
また、「見かけ」着いている状態で出荷して、店頭で、それが剥がれ落ちてしまうということにでもなれば… 店からしても損害が大きく、また、メーカーとしての信用にも関わってきます。
なので、早急な対策、対応が必要になってきます。
概ね…
今まで着いていて着かなくなったという理由は、概ね、
デザイン変更とか、台紙やブリスタートレーの素材の変更とか、制作してもらってるメーカーを変えた… などに起因する場合が多いです。
もっとも、機械側での問題がゼロ… というわけでもないのでしょうけど、機械の場合で考えると致命的な故障がない限り、明日着かなくなるという状況は考えにくいのです。
むろん、ヒーターが断線していて設定温度に到達しない、とか、使用しているシール用の推力(エアシリンダなど)が不調であると言った場合ではシールに影響が生じる場合がありますが、仮にそういった事がらが発生している場合には、以前までの素材でも「着かない」という状況が発生するはずなのです。
以前の素材で着いて、新しいので着かないという場合には、新しいもので何か不都合が起こっていると考えるのが自然です。
対策。
普段と変わらない条件、環境で着かないという事態が起きた場合、変化を真っ先に感じるのは、絶対的に『溶着作業を行っている現場スタッフ』です。
その確証をさらに高めるために、以前との比較を徹底的に行なってみて、その内容を制作会社に伝えるということが必要になってきます。
確証を高める方法として…
まず、機械的な条件を同一にして、新旧の素材で溶着作業をしてみる ということ。 台紙が変ったのであれば、新旧の台紙を用いて、それぞれ容器との溶着を試みる。 で、その結果を比較するということです。
また、容器を使わずに台紙同士をくっ付けてみるというのも方法としてあります。 新しい台紙同士、古い台紙同士を重ねて、それぞれ溶着してみて、結果を見てみるんです。
恐らく、それぞれでは、溶着に差が出てくるはずです。
制作メーカーに問い合わせる。
その上で、制作メーカーに『着かない』事象を伝えます。 制作メーカー側は、それらの結果や事実を踏まえ、真摯に向き合うことが肝要ですよね。
新しいもので「着かない」ということが事実なのですから、それをどう是正するのか? メーカーとしての知恵や技術の見せどころなのだと思います。
防衛策。
発注主である側は、複数の制作メーカーを持っておくというのも対策として在りだと思います。
お付き合い的な部分もあったりして難しいのでしょうけど、取引先が2社あれば溶着性能の比較ができます。 また、もしもの時を考えると、仕入れ先を分散している方がリスク低減につながります。
生産現場での作業を考えた時には、継続的に安心、安全に生産できることが第一だと思いますので、その辺りも一考の余地があると思います。
そうそう…
2社ありますと言っても、ブリスター用の台紙の場合、ブリスター液(ホットメルト)のコーティングは2次加工になる場合がほとんどだと思います。 なので、2次加工先がダブらないという前提がいります。 念のため…
そもそもは。
そもそも思うんですけど…
『着く、着かない』問題の多くは、作業現場とデザイナーが離れていることに起因する場合が多いんじゃないでしょうか… ね?
デザイナーは、デザイナー都合でデザインや素材を決めてしまう。 そこに問題があるのだと思えます。
包装にどんな機械が使用されていて、どんな条件で処理が行われていて、また、どんな風に作業されているのか? ということを知っておく必要があると思うんです。
また、デザインを変えるのであれば、少なくとも、マス生産に入る前にサンプルテストをしておくということも大事だと思います。 大量に発注してしまった後に、『着かない』が起こると目もあてられないです。
加えて、台紙やブリスター容器などの包材受け容れるのであれば、まずはテスト用に最小ロットで受けいれて、条件をみて、それから… という流れがいいと思います。
次工程は、お客様。
疑いたくはないのですけど…
今の時勢、単価の問題も大いにあります。 制作会社と良好なスタンスでお付き合いできているのであれば、何も問題はないのでしょうけど… もし、単価面で高圧的であったり、単価交渉に応じないなどという場合では、制作会社としてもそれなりの対策を講じるでしょう。
物価高の世の中にあって、如何に利益を出すか… 素材を変えてみたり、性能が同じ(と言われている)な代替えの廉価なものに変更するという手段に進むのもなくはないでしょうし、もしかしたら、工程を省く、あるいは短縮して応じている… 可能性は否めないです。
制作会社さんが悪いと言ってるつもりはないのですけど、繰り返しになりますが、なんせ、『着かない』が発生すると作業現場では時間の無駄が発生しますし、最悪は、会社としての死活問題になってしまいます。 そうなれば、とりまく全てに影響が出てきますよね。
「次工程はお客様」という言葉があります。
でも、これって、自社内であっても、むろん、その仕事を請けてるところにも大いに関係してくる言葉なのだと思うんです。 「自分だけが…」で仕事をしていると、大きな代償を払わなければならない事態になりかねません。
なので、くれぐれも大事に至らないような策を連携して講じていくのが大事かと。

時短設計®な視点で、規模に応じて、設計してます。
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