社会的な構造の変化にともない、製品への履歴管理がとても重要になっています。あなたの製品では、履歴管理はできていますか?
こんにちは。
大阪・柏原市で、現場に合わせたブリスター包装機づくりをしている、ブリスターパック・ラボのけたろーです。 ここでは、ブリスター包装や周辺工程のことをできるだけわかりやすく書いています。
さて、今回の話題は…
トレーサビリティは、自己防衛の手段でもある
ここで言う「履歴管理」とは、トレーサビリティのことです。
その製品が、いつ・どこで・誰によって生産されたか。
その履歴を追える仕組みがあるかどうか、ということです。なぜ必要か、と言えば、一番の理由はずばり自己防衛です。
クレームが発生したとき、その商品が本当に自社で製造された物かを迅速に確認できる手段があるかどうか?
これは、品質管理の話であると同時に、会社を守る話でもあります。

クレーマー対策にもなります。
以前、お客さんである歯ブラシメーカーから聞いたのですが、そこでは商品パッケージ「だけ」でなく、歯ブラシそのものにも追跡できる情報を仕込んでいると、お聞きしました。
パッケージへの対策は、すぐにイメージできたのですけど、製品本体にまで仕込んでいるとは想像できませんでした。なぜ、そこまでしているのかの理由は、恣意的なクレームへの対応に追われた経験から…だそうです。
歯ブラシは口に入れるものです。口に入れた時に折れて口を怪我しただとか、ブラシの部分がどうだとか、いろんなクレームがでてくるのだそうです。
正当なクレームならまだしも、中には、「何かしらの賠償」目当てでクレームをいれる人が若干数いるとのこと。そんな、クレーマー対策として、「トレース(追跡)できること」が現場を守っていく上では、とても大切なことなのだと話されてました。

ブリスター包装では、まだまだケアが薄い
食品関連では、トレーサビリティはほぼ常識になっています。
一方、ブリスター包装を使った雑貨や日用品では、まだまだ対応が薄いのが現状なようです。店頭でブリスター商品をみていると、台紙の表にも裏にもロットコードが入っていない商品が少なくないです。
もちろん、会社の方針や経営判断にもよる部分ではあります。ただ、「不要」と判断するにしても、リスクを理解したうえで判断しているかどうかは、大きく違うと思うのです。
管理データを後追いできる仕組みが大前提
トレーサビリティを考えるとき、その視点には大きく2つあります。
①生産時の管理(社内向け)
各製品にコードを付与し、加工工程の処理と紐づけ、「いつ・誰が・どの工程で・何を処理したか」を、個々の製品単位で把握できる状態にすること。
②出荷後の管理(流通向け)
商品パッケージに「ロットコード」を付与して追跡できる状態にする。コードの意味合いは各社のコーディングルールに従いますが、工場の固有記号や製造年月日がわかる形式が一般的です。
どちらにも共通して言えるのは、単にコードを付与するだけでは不十分だということです。付与したコードをデータとして整理・管理し、必要なときに参照できる仕組みがあって、はじめてトレーサビリティが機能します。
印字のタイミングは、3パターンあります
ブリスターパッケージへのコード付与を考えるとき、タイミングとしては大きく3つあります。
- 包装前に台紙へ印字する
- 包装機械上でインラインで印字する
- 包装後に印字する
それぞれに特徴があるのですが、この中で、ボクがあまりおすすめしないのが「捺印」を使った方法です。手軽な方法ではあるのですが、捺印の場合、印字内容を変えるたびに判を入れ替える作業が発生します。

判の入れ間違えのリスクがある上、捺印内容を台帳で管理する必要があり、転記ミスも起きやすいのです。また、インクによる製品への汚れも懸念されます。
台紙の紙質と捺印インクの質が合っていない場合、かすれたり、あるいは、インクが乾燥する過程で別の台紙へインクが転写されたりといったトラブルが起きます。
捺印しかなかった時代には、それが唯一の選択肢であり、リーズナブルな方法であったのは確かなことです。でも今は、産業用インクジェットに代表されるダイレクトプリンターという選択肢があります。
ダイレクトプリンターでは、印字データをコンピュータ上で管理するため、データ管理が格段に楽になり、また、印字内容の設定ミスのリスクも大きく下がります。
一番おすすめは、包装機上でのインライン印字
先に挙げた3つのタイミングの中で、最もおすすめなのは「包装機械上での印字(インライン対応)」です。
包装前に印字する方法は、作業としては比較的楽で、機械化もやりやすいです。ただ、印字枚数の把握が煩雑になりやすく、
包装時に失敗が出ると追加対応が必要になります。加えて、今日の印字内容が、明日には使えないことを考えると、余分に印字した場合は「無駄」にもなります。工程がひとつ増えてしまうことも否めないのです。
一方、包装後に印字する方法は、ブリスター容器の形状が障害になりやすいという問題があります。台紙裏面に印字したい場合、搬送の調整が難しく、作業が煩雑になりやすいのです。
ということを考えると、包装機上でそのまま印字まで完結させるインライン対応は、工程が増えず、作業も確実で、管理もシンプルになります。
インライン印字の組み込み事例。
産業用インクジェットプリンターを組み込んだ事例を紹介します。ちなみに、産業用インクジェットを組み込む場合には、
スライダを用いた方法を採用しています。
ターンテーブル型への適用。
ターンテーブルが間欠停止している間、つまり、溶着作業をしている間にスライダを動作させて印字を行うという方法です。

動画でご覧いただけます。
余談ですが…
インクジェットでは、ワークが走行中(移動している)に印字を行います。これを受けて、『テーブルが動作するときに印字すれば?』という意見もあるかもしれませんね。
でも、ターンテーブルでは、テーブルが回転します。回転するというのは、当然、回転方向の運動であって直線方向ではないので文字が歪んでしまうんです。文字数が極端に少ない場合なら、それほど気にならないかもしれませんが、多くなるとゆがみが大きくなり、使用に耐えなくなります。(体験済です。苦笑)
トラック搬送の場合。
トラック搬送(楕円軌道)型の場合は、ターンテーブル型に比べて、比較的設置は楽です。ターンテーブル型と同様、スライダを使って搬送ユニットが停止している際に印字を行います。


動画でご覧ください。
まとめ
ブリスター包装におけるトレーサビリティは、後から足そうとすると、どこかで無理が出やすい部分です。
捺印での対応は手軽に見えますが、データ管理の信頼性という点では、かなりぜい弱です。また、もしものときの参照が、非常にやりにくいというのもあります。作業負荷が大きくなるのは否めないです。
産業用インクジェットを使ったインライン印字にしておくことで、印字品質・作業性・追跡性をまとめて整えることができます。
「うちはそこまで必要ない」という判断もあると思います。ただ、リスクを理解したうえで判断することと、何も考えずに後回しにすることは、まったく違います。
トレーサビリティは、何かあってから慌てて考えるより、最初から仕組みとして組み込んでおく方が、現場にとっても会社にとってもラクになります。
ブリスター包装へのロットコード印字・トレーサビリティの仕組みづくりについて、 「どこから手をつければいいかわからない」という場合もぜひ一度ご相談ください。
- 印字タイミングや方法の選定
- 機械へのインライン組み込み
- データ管理との連動設計
現場の状況にあわせて、一緒に整理するところから対応しています。
ここまで、読んでくれてありがとうございます。
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