パッケージ(包装)のデザインを考える上で重要なコトについてお伝えします。
こんにちは、
大阪・柏原でブリスター包装機をオーダーメードで手掛けています。 ブリスターパック・ラボ、担当のけたろー(@sanagiman_flush)です! ツイートフォローお願いします!
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暑さ寒さも彼岸までとはよくいったもので、お彼岸が過ぎたら朝晩も、すっかり涼しくなってきましたね。
さて…
パッケージのセキュリティ。
これをテーマにした話題は、以前にも書いたかもしれませんが、今回は別の視点でお伝えしたいと思います。 話を進める前に、包装の目的を今一度おさらいしてみたいと思います。 それでは、質問です。
包装の目的とは、なんでしょうか?
この質問への答えとして、一般的にイメージされるのが、たぶん、〝マーケティング〟的なことなのだと思います。 つまり、表面的なデザイン(意匠)を良くして、例えば、豪華にみせるとか高級感を持たせるなどといったことがそれです。 加えて、表面の色合いやPOP的な宣伝文句とかもそうでしょう。
その上で、カートン(箱)を採用するか? ブリスター包装のようなものを使うか? それともタグ付の袋を使うか? はたまた、ピローのような形態なのか? … さまざまな包装の様式が考えられますよね。
液体なら、ボトルの形状をどうするか? スタンディング式の袋にするとか? そういうこともそうです。
また、どういう〝姿勢〟で販売するのか? 販売の仕方もデザインに大いに絡んできます。 吊り下げる? 置く? それで、使用する包装上の形が決まってきます。 そして、機能性。
機能性とは、例えば、食品などでは中身が劣化しにくいとか、ガスバリア性(匂いが漏れない)があるとか、そういった類のことです。 アルミ蒸着が必要であるとか、水物ならフィルムのラミネートがいるとかそういうことも機能性になってきます。
あと、機能性でいえば、扱いやすさでしょうか…。 誤って開けてしまわないような工夫も機能になりますし、逆に、年配者向けや障がい者向けなどであれば、開封性の容易さが求められたりします。
そんな中で、もうひとつ忘れてはならないことがあります。
大切なこと。
それは、
セキュリティ
です。
ある事件がきっかけで…
セキュリティに関して、包装でそれがキッカケになったのが、ちょうどグリコ森永事件だと言われています。 グリコ森永事件とは、1984年くらいに起きた毒入りのお菓子がばら撒かれたあの事件です。
その当時のボクは、ちょうど小学生高学年~中学1年くらいの頃です。 テレビでは、連日このニュースをやってたのをおぼろげながら覚えています。 怪人二十一面相? だったか、キツネ目の男だとか、犯人と思しき人の特徴を書いた似顔絵が頻繁に流れてました。
さて。
それまでの包装では、改ざんされることなどについてあまり考えられてこなかったようです。 まぁ、それまでにも〝針の混入〟みたいなことはあったらしいのですが、あれほど悪質なものはグリコ森永事件が初めてだったと聞いたことがあります。
なんせ、『猛毒』なやつが入ったお菓子に〝すり替えられて〟ばら撒かれるのですから、怖いですよね。 巧妙にパッケージが破られていて、改ざんされたかどうかは一目ではわからないという…
で、その事件以後、改ざん防止のための開封シールなどの貼られるようになり、包装に対するセキュリティの考え方が変わり、強化されるようになったというわけです。
なのですが….
モラルの問題と、根本的な考え方も。
ここのところの状況を見ている限り、社会的には不景気な側面も相まって、万引き等のリスクが大きくなってきているという声もある一方で、環境保護の観点からか簡易的なパッケージデザインなものも増えてきています。
という状況を鑑みてると、最近では、セキュリティの面がちょっと薄らいでいるような感も否めないのです。 あ、でもこれは、あくまで個人的な意見ですがね…
セキュリティという面で包装デザインを考えると、日本と海外では、そもそもの考え方が違っています。 市場をみていると、さも簡単に開けれそうなパッケージで溢れかえっています。 日本では〝そんなやつおらんやろ…〟という性善説に基づいた考え方がまだまだ根強くあるのです。
でも、それを販売する店舗側は、たまったものではありません。 盗れてしまうと、店側にとっては損害になってしまいますので死活問題です。 なので、独自の対策… 例えば、中身が持ち出されないようにラップで巻くとか、それが高額商品の場合、警報ベルをつけるなどの対策を講じられています。
ラップで巻いたりすることについて、一度お店の方に聞いたことがあるのですが、かなりめんどくさい作業だと言われていました。
海外でのベースの考え方。
その一方で海外は、〝盗られること〟が前提で考えるそうです。 だから、初めからそれなりの〝備え〟ありきで販売方法を考えるとのことです。 包装の仕方もその一環にあります。
以前、アジア圏に自社商品を展開していきたいというお客様から、こんなことを聞いたことがあります。
日本では台紙を差し込むタイプのスライドブリスターを使って販売されていて、それをそのまま海外でも流用しようとしたところ、相手先から 待った! が入ったそうです。 スライドタイプは、中身が抜かれてしまうのでやめてくれ… 販売ルートにのせるのであれば、溶着に切り替えてくれ、それがメーカーの責任だ と。
ちなみに、盗るという行為は、買い物をするお客がするのではなくて、店員がする場合もあるとのこと… らしいです。 スライドブリスターは、簡単にパッケージの開け閉めができるので、スタッフが陳列作業の際にこっそり中身を抜くということがあるんだとか。
メーカーの責任。
実は、突き詰めて考えていくと、メーカー側の責任が大きいのです。
どんなにきれいな包装を採用していたとしても、それがアンセキュア(安全でない)なら責任を追及されるのはメーカー側であるということです。 その形態を採用したのは、あくまでメーカー側なので、『盗られやすい』という点を販売店の所為にするのは、いささかナンセンスです。
コストの厳しい世の中にあって、メーカーからすれば、それがたった1円でも数銭円のレベルででも、コストを下げたいと言う気持ちはわからなくもないです。 でも、それによって安全性が損なわれてしまうのであれば本末転倒ですよね。
もっとも… ここ最近では、産地偽装や消費期限等の改ざんなど、メーカー側が仕組んでやってるようなことも取りざたされています。 そうなると、パッケージデザインどころの話しではありません。 もっと、根本な問題になります。
安全性とは、それを販売してくれる販売店のみならず消費者に対してでもあります。 包装を考える際には、製造メーカー側の意識を正し、盗難対策はもちろんイタズラ対策など、セキュリティな面も十分に考えるべきです。
修正・加筆 2024/06/26
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