10連休もあっという間に終わってしまいました。 あ、でも、うちは通しの休みではなくちょいちょい仕事してましたけど・・笑 これほど長い連休は、未だかつて経験したことがなくいろんな課題があったみたいですね。 でも、個人的には上(国)から決められる休みではなく、個人個人が簡単に、かつ、自分のペースで休める環境になったらいいのになぁって思います。
こんにちは、大阪・柏原でブリスター包装機をオーダーメードで手掛けています。 ブリスターパック・ラボ、担当のけたろーです! ツイートフォロー(@sanagiman_flush)お願いします!
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さて…
ブリスター包装機の現状。
今回は、ブリスター包装を自動(機械)化していく上で、大切なことをお伝えしようと思います。
人手の確保の問題や、働き手の労働時間の問題とか… 労働環境に対する様々な要因への対応策として、生産現場や包装作業での自動(機械)化へのニーズは増えつつありますよね。
最先端と言われているところでは、AIやロボットを駆使して既に無人化が実現されているとも聞きます。

展示会などで知る限り、ピロー包装や、容器充填だとか、至極身近な製品への包装作業の現場でも同様に、自動化や機械化がどんどん摂りいれられて、人があまり介在しないような環境になってきているように思います。
しかし!
そんな潮流がある中でさえ、ブリスター包装の業界って、まだまだ人海でやっているイメージが強いのです。 イメージが強いというか、大多数の事業者が未だに人海でやってるような感じです。
なので、かなり流通している包装形態の割に、他の包装に比べて遅れているのは否めないのです。
遅れている要因は?
他の包装と比べて遅れてしまっている要因のひとつが、主流で認知されているブリスター包装機のコンセプトにあるような気がしています。 機械のコンセプト自体が〝世の中の労働環境の現状〟とかなりかけ離れているからなのでは? と個人的に思えるのです。
市場で多くみかけるパッケージの割には、その包装機械を〝日本の〟展示会では見ることができません。 まぁ、うちも出展してないので偉そうには言えないんですけど。(^_^;) ちなみに、アメリカの展示会だとブリスター包装機のメーカーが各社出展されていて、ロボットなどを組み合わせた〝最新〟のが展示されています。
で、日本ではというと、一昔、いや、2世代ほど前の、大量生産・大量消費時代の作れば売れるっていう時代でのコンセプトの機械が、未だに主流になっている。
その当時は、人手も簡単に確保できて、人件費という面でも今よりもシビアではなかったと聞いてます。 今でこそ、最低賃金が1000円くらいが主流になりつつありますが、ボクらの頃はバイトの時給が550円程度。 600円とか、650円くらいで、「わ~ すごいやん!」って。
そんな感じなので機械(設備)に金をかけるよりも、人を雇って人に作業させる方が現場的に楽で、且つ、生産性も上がるんだぞ! みたいな風潮だったのは否めないです。

実際、ボクが前職からこの職に就いた2000年当初のころもそんな感じでした。 まだまだ「人手」が中心で、機械よりも人手による作業をよくするための〝道具〟を選ぶという感じ。
現状、主流で認知されているブリスター包装機は、そんな時代背景の中で開発されてきたという経緯があります。 しかも、昔の機械は〝堅牢〟につくられ、且つ電機制御もシンプルな構成なので、潰れない(つぶれにくい)のです。
今もなお、使われ続けているというのは、そういうことにも起因しているようです。
ゆでガエル論。
でも、それから時代は大きく変わっていきます。 作れば売れるような、大量消費・大量生産の時代ではなくなっています。 にもかかわらず、言い方が悪いのですけど… 機械を使用されている方々も、

別に~
これが普通やん~ ♪
などとあんまり勉強されていない という感じのところが多いみたいな気がします。 まぁ、それで仕事や売上げが回っているのであれば、第3者がとやかく言う必要もないのですけどね。 苦笑
でも、気にしたいのは「周りが変化している」というところです。 その変化に気が付かず、現状維持で進んでしまうと、将来がヤバいと思うんです。 余計なお世話かもしれませんが、『ゆでガエル』になる可能性は否めないのです。
あ、ちなみに、『ゆでガエル論』ってご存知ですよね?


「ちょうどいい温度加減だな。 気持ちええなぁ。」 なんて構えていると、温度が上がっていることに気が付かず、終いに、逝ってしまう… というたとえ話しです。 (下記:参考までに。)
茹でガエル(ゆでがえる、英語: Boiling frog)とは、緩やかな環境変化下においては、それに気づかず致命的な状況に陥りやすいという警句。 生きたカエルを突然熱湯に入れれば飛び出して逃げるが、水に入れた状態で常温からゆっくり沸騰させると危険を察知できず、そのまま茹でられて死ぬという説話に基づく。
ゆでガエルの逸話
その一方で、時代を感じて勉強されているところでは、作業現場の環境を改善すべく自動化を考えられるところもあります。
自動化への考え方。
自動化に向けて、スタートをきる! すごくいいことだと思います。 でも…
「さぁ、自動化するぜ!」って、やみくもに突き進むと、ちょっとヤバいことが起きます。 自動化に目を向けるのはいいことなのですが、ちょっと注意してほしいことがあるんです。 それは…
過去に囚われない。
いざ、自動化 ということで、実際に自動化を行ったものの失敗に陥ってしまうケースを何件かみてきました。 なぜ、失敗に陥ってしまったのか? それは、
今まで(手作業)の環境でイケてたんだから!
という意識(考え)を引きづってしまわれたということです。


たしかに、『手作業でできていた』というのは、大きな実績であり、経験でもありますよね。 でも、自動化で失敗してしまうのは、『過去に縛られすぎた結果』であることが多いのです。
機械の特性を理解する。
手作業ではうまくできていた… 確かにそうでしょうね。 正直言って、人間の手ほど、器用で、臨機応変で、優秀なものはありませんから。 注意して頂きたいのは、
自動化(機械化)すればなんでもできる!
という幻想染みた考え方です。
人の手による作業は、その場の環境に対してものすごく敏感で柔軟に、且つ、機敏に対応できます。 例えば、ある資材を扱う際には、その位置が少しずれたとしても、『人の目』が瞬間的にそのズレを認識し、難なく作業ができるように〝自動補正〟を行い、作業を続行することができます。
それに、少々『規格外な資材』があったとしても〝目〟や〝触感〟を使って直感的に判断して、はじきだすことができます。 それに対して機械はどうか? というと… ムリなのです。 正直なところ、
〝機械はバカ。〟
です。 機械は決まった動作しかしませんし、できません。
ちょっと資材配置がズレると、たちまち動作不良を起こします。 規格外なものが混じっていたとしても同様です。 『バカ正直』に投入して、エラーを引き起こします。 「臨機応変に」というのが無理なのです。
この点、高度なAIを駆使して、最先端と言われる技術をふんだんに使って、膨大なコストを投じて開発して… という場合の機械なら別なんでしょうけど… それは現実的ではないですよね。 また、高性能なセンサーを設置したとしても、まだまだ人間の感覚の方が優位です。
自動化を考えるのであれば、そういったことをよく理解しておく必要があるということです。
発想を変える。
結局、如何に機械を停止させずに動作させるか? という〝逆の発想〟が必要になってきます。 つまり、『機械が機嫌よく動ける』環境にしていく… ということです。
具体的に言えば、例えば、包装資材についてのことを挙げます。
手作業で作業を行う場合では、少々、包装資材の寸法が不ぞろいであったとしても特に問題はなかったのかもしれません。 手作業であるがゆえ、そこに違和感を持ちながらでも作業を続けることができます。
ところが、自動化する上では、それが致命的になるんです。 これに対しては、こんな体験があります。
痛烈な過去の体験。
とある事業所さんで、半自動なブリスター包装機を使用されいて、それを『全自動』な体制にしたいとのことでご依頼を頂いたときの体験です。
ちなみに、いわずもがななのですけど、ブリスター包装の全自動というのは、容器、中身の製品、台紙を含め、全て自動で供給して、溶着を行って、包装後の〝製品〟としての一通りを全て機械で行うということです。
その時の機械は、できるだけコンパクトにしたいという要望もあってユニークな搬送方法を取り入れ実装したんです。 ちなみに、台紙の最大サイズが600mm。 最小が、200mmくらいというサイズ巾。 加えて、中身の製品の厚みが2mm程度で、当然、容器もそれに対応した薄さという条件でした。
案件をうける際には『製品が薄いから気を付けて』という前振りを頂いていました。
機械が出来上がって、据え付けを行い、試運転を行っていたときのこと。 製品の自動供給も大変だったのですが、それに加え、容器の自動供給がうまくいかないという事態に陥りました。
初めは、容器の薄さによるものなのか? と思っていたのですが、動作を観察していると、大丈夫な場合と、そうでない場合があることが判明。
その時、ストックしていた容器を何気に手に取って、見てみたんです。 すると… トンデモナイことがわかったんです。
そもそも、不ぞろいな容器形状。
容器の外形が、それぞれで異なっているということがわかりました。 しかし、それは成形容器の場合、稀に起こることで、要は、真空成形した後の外形の型抜きを〝数枚重ねて〟抜くことによるものです。 重ねて抜くために、抜き刃がまっすぐに入らず、製品が歪んでしまうということ。 しかし、今回のそれは、非常に大きな差だったのです。
自動供給を行う際には、多少の誤差であれ、機械に影響が生じます。 自動供給がうまくできないという理由はそこにありました。 今まで、その容器で問題がなかったのは、半自動だったのでわからなかったということです。
で、もう一つ、致命的なことがありました。 それは、そもそも、〝その容器で製品が確実に入らないものがある〟ということ。 手作業であっても、自動であっても、もちろん、製品が容器の中に納まるということが大前提です。 しかし、この容器の場合には、それではなかったのです。
容器のロットによっては、製品が納まらない場合がある… ということが判明しました。 これも、今回の自動化によって明らかになったことでした。 また、容器の厚みが薄いのもあって、その多くが変形していたというのもあります。
容器の外形違いと変形については、試運転が始まる頃に、クライエントさんの機械の担当者に伝えていました。 しかし、



今まではこれで使えています!
といっこうに取り合ってくれなかったんです。 そう言われてしまうと、決定的な解決策もなく、仕方なく、ずるずる… と時間だけが過ぎていくのでした。 挙句、その彼の上長の方から、



これだけ時間が係っているのはなぜなのか?
うちのトップに説明と謝罪をしてくれ。
とまで言われたのでした。
外的要因は、機械でも抑えられない。
機械側からすれば、容器のサイズが不揃いであるならまともに供給ができるはずもなく、それに加えて、そもそもその容器に製品が納まらないのであれば、機械の調整のしようがありません。
なので、謝罪に出向く前の日に、機械が直面している背景の説明を手紙として送付したのです。
有難かったのは上層部の方々の理解です。 手紙に書いた背景のところは、全く担当から伝えられていなかったようで、ただただ、機械側の所為としか聞かされていなかったとのことでした。
クライエントさんも〝ものづくり〟を主体に活動されています。 こちらがお送りした手紙の内容をすぐさま理解してくれました。 後、容器メーカーへ是正するように通達。 それを受けた容器メーカーも『手のひらを返した』ように、速攻で段取り… 作りなおされた容器で確認すると、何の問題もなく機械が動き出したのでした。
謝罪に伺った日、クライエントの製造部の方は、半ば、平謝りされていました。



ここまでの問題は、資材を受け容れるときにうちがきちんと確認してこなかったのが原因です。 ほんと、申し訳ない。
徹底的に整える。
しかし、この時の体験は、ほんと貴重でした。
容器には製品が入るもの… とこちらも自動思考的に思っていて、且つ、そこまで酷いとは思っていなかったからです。 でも、実際は違っていた。
手作業で大丈夫だったから… という認識の甘さが事態を長期化させ、包装資材のクオリティが自動運転時の安定性を左右させる一因になっていたということです。
この時の体験は、容器メーカー側の失態によるものだったのですけれど、トラブルの起因で考えると、そのほとんどが資材購入時に端を発している感は否めないのです。
上記の体験談の時だって、その容器メーカー曰く、



安くしたってるからしゃーないやん。
うちは、値段相応でやってる!
みたいなことを言われていました。 でも、結局、その『安くしたってる』という理由の中には、
たくさんの枚数で重ね抜きする。 経年で摩耗していても、確認することなく昔の金型をずっと使い続けてる。 きちんと整えて配送しない。
という品質を犠牲にした循環が生まれていたというわけです。
ちなみに、是正指示がでたあとの容器の変形に対してが顕著でした。 今までは、容器が薄い所為もあって、袋の中にガサっと入れられてたことでほぼ全てが変形していたのですが、是正勧告があってからは、きちんと重ねて束ねられていました。
結局、コストを楯に『ええ加減に』対応されていたというわけです。
しかし、価格はどうあれ、受けた以上は品質は担保されるべきですよね。 加えて、それを馴れ合いで受けいれてきた側も… 互いに非があるのは否めないです。
で、こういう言い方はあんまりしたくないのですけど…。
多くの会社では、中身である商品に対してはものすごく気を遣い、設備投資も旺盛に行って、商品そのものの価値を高めようと躍起になっています。 反面、包装工程はおざなり… お金をかけずに適当に考えられるっていう場合がほとんどですよね。 包装資材は、とにかく、安価に抑えたい… って、そんな感じで捉えられているところが多いように感じます。
いくら中身がよくても、包装自体がまずければどうでしょうか? 全体としての価値の低下は、免れないでしょう。 それに加え、包装作業として考えると、資材の質の低下は返って効率を落としてしまいます。


安物買いのなんとやら… です。
要は、自動化を考えるのであれば、全てを徹底的に見直し、そこにいくらかのコストがかかったとしても、機械が機嫌よく動けるように配慮するということが肝要だということです。 結果的に、それが一番利益につながります。
修正・加筆 2024/06/19
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