ブリスター包装機でのブリスタートレーの自動供給。 容器がスムーズに供給できれば、それに越したことはないんですけど…。
こんにちは。
大阪・柏原市で、現場に合わせたブリスター包装機づくりをしている、ブリスターパック・ラボのけたろーです。 ここでは、ブリスター包装や周辺工程のことをできるだけわかりやすく書いています。
さて、今回の話題は…
ブリスター包装で、どこまで自動化するか
ブリスター包装機を考えるとき、台紙の自動供給は、ほぼ、標準的に対応してます。 さらに効率化を求められる場合には、ブリスター容器の自動供給もおすすめしてます。
容器を自動供給にすれば、作業スタッフの作業は中身を入れるだけになります。 もっとも、中身も自動で供給してしまえば、完全自動になるわけなのだけど、中身の自動供給は、正直、ハードルが高いです。
製品のハンドリングというよりも、どうやって機械の手前で集積させておくか? ということの方が難しい場合が多くって。 というわけで、製品は人手での作業が多いです。
ブリスターの自動供給の鍵は「剥離性」
ブリスター容器を自動供給する場合、重要になるのが、『剥離性』です。 つまり、重なったブリスター容器の分離のしやすさが肝になってきます。
手で剥がしにくいものは、機械でも剥がしにくい

まず大前提として、容器同士の剥離性を決める一番の要素は、容器に設定され抜き勾配です。
抜き勾配というのは、容器を成形するときの型抜きのための、わずかな傾斜のこと。 この勾配が十分配慮されてないと、容器を重ねたときに側面同士がぴったりくっついてしまい、一枚ずつ剥がすのが難しくなります。
ここで、ボクらが現場でよくお伝えしていることがあります。 それは、「手で剥がしにくいものは、機械でも剥がしにくい」ということなんです。
当たり前のようですが、これ、意外と見落とされがちなんですよね。 機械は魔法の『手』じゃないので、人の手でも苦労するような容器を、涼しい顔でさばいてくれるわけではないんです。
自動供給をスムーズに行わせるためには、手でも容器が簡単に剥離できることです。 また、自動供給をするしないに関わらず、剥離性は作業性にも直結していることでもあるので、まず容器そのものを手に取って、重ねて、剥がしてみる。 そのときの状況を確認しておくことがポイントです。
圧縮梱包という、剥離しにくさの入り口
剥離性が悪くなる原因のひとつが、資材が出荷される際の梱包の仕方です。
資材を出荷する際、箱の中に容器をぎゅうぎゅうに圧縮して詰められることがあります。 圧縮すれば、その分多く箱に入れられるので、箱の数量を抑えることができます。 要は、輸送コストや資材コストを下げる狙いによるものなんですよね。
あと、重なり具合で言えば、抜き工程での枚数にもよります。
容器の形状にもよりますが、真空成型後の型抜きは、作業効率を考え、複数枚重ねて抜く場合が多いようです。 抜いた後に、そのまま梱包されるため、重ねた枚数での圧縮が起こるというわけです。
こういった事柄は、生産コストを下げるためへの資材メーカーさん側の事情としては、十分に理解できる話です。
ただ、これをやられてしまうと、容器同士が強く押し付けられた状態で固まってしまい、供給時に一枚ずつ剥がすのが難しくなってしまうことがあるんです。
本来であれば、ふわっと余裕を持たせて箱に詰めるのが、剥離性という観点では理想的です。 でも、それだとコストがかかる…。 ここに、まず一つ目の『トレードオフ』が存在しているというわけです。
こうした圧縮による貼り付きを見越して、あらかじめ容器側に剥離しやすくなる工夫を仕込んでおく。 それが、次に説明するスタック(ノッチ)という技術です。

スタック(ノッチ)という対策と、そこにかかるコスト
積み重ねた状態でも一枚ずつ確実に剥がせるように、容器の形状設計として対策を打つ方法があります。 それが、スタック(ノッチ)と呼ばれる工夫です。
ノッチというのは、容器の縁につけた小さなでっぱりのこと。 ヘソのようなものをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。
このでっぱりのパターンを複数用意しておいて、重ねるときに互い違いになるようにする。 例えば、A、B、Cといった感じで3パターン作った場合、A、B、Cの順番になるように重ねていく。 これを「テレコ組み」と呼びます。
パターンをずらして重ねると、容器と容器の間にわずかな隙間が生まれます。 この隙間があることで、容器同士が密着しないため、供給時の「二枚取り」を抑えることができるというわけです。
理屈としては、とても理にかなった方法で、自動供給を考える場合には、非常に有効な手段です。
ただ、このノッチという工夫には、若干の問題があります…。
まず、容器側にでっぱりのパターンを複数持たせる分、金型の設計・製作の手間が増えます。 また、抜き工程のあと、A、B、Cといった順番になるようにパターンの組み合わせ作業が必要になります。
要は、パッキング作業そのものの手間が増えるということです。 加えて、見落とされがちなのが、ノッチによって生まれる「隙間」の分だけ、同じ箱の中に入る容器の枚数が減ってしまう、というのもあります。
隙間なくぎっしり詰められないので、一箱あたりの入り数が減る。 つまり、同じ量の容器を運ぶのに、より多くの箱が必要になるということなんですよね。
型の手間、パッキングの手間、そして入数の減少。 これらが積み重なって、資材単価が多少アップしてしまうのは、正直、否めないところです。
そして、ここにもう一つ落とし穴があります。
もし、パターンの組み合わせを間違えて、同じパターン同士を重ねてしまうと…。 隙間が生まれず、ノッチを設けた意味がなくなってしまうのです。 むしろ、でっぱり同士がぴったり噛み合ってしまい、二枚取りのリスクがそのまま残ってしまう場合もあります。
だからこそ、資材メーカー側には、出荷の段階でパターンを徹底してチェックしてもらう必要があります。
でも、話はそれだけでは終わらないんです。
たとえ出荷時に正しいパターンで梱包されていたとしても、包装機械にセットする段階で、容器をばらけさせてしまったり、積み直す際にちょっとしたミスがあったりすると…。
結果的に同じパターン同士がそろって重なってしまうという状況が起きます。
つまり、スタックで対応したとしても、二枚取りのリスクは、資材メーカー側の出荷管理だけの問題ではなく、包装現場でのセット作業にも同じように潜んでいる、ということなんですよね。
「どちらかが我慢する」のではなく、事前にすり合わせておくこと
ここまでの話をまとめると、自動供給のスムーズさは、いくつもの要因が絡み合って決まっている、ということが見えてきます。
- 容器設計時の抜き勾配
- 出荷時の梱包の詰め方(圧縮の度合い)
- スタック(ノッチ)を設けるかどうか、そしてそのコストと運用リスク
これらはそれぞれ、資材コストや、資材メーカー・包装現場双方の手間と、トレードオフの関係にあるというわけです。
もちろん、包装現場側でもできることはあります。
容器を装置にセットする際、エアブローなどで重なりを事前にほぐしておく、といった工夫です。 これで、多少の剥離しづらさは吸収できることもあります。 でも、圧縮がひどい場合には、この対策ではあまり効果がでないです。
工夫をしたとしても、あくまでそれは、対症療法なんです。
根本的な解決には、容器の設計段階で抜き勾配をきちんと確保しておくこと。 そして、スタックを採用する場合は、そのコストと出荷・現場双方での組み間違いリスクを、あらかじめ織り込んでおくこと。
そのためには、資材形状や入荷方法を決める段階で、包装現場側と資材メーカー側が、十分に話し合っておくことが欠かせないです。 どちらか一方が我慢する形にしてしまうと、結局どこかにしわ寄せが行きます。
あくまでも、経験則ですが…。 ただ言えることは、剥離性を考える上でのまっさきは、抜き勾配による対応が一番、3者(資材メーカー、包装作業現場、機械側)にとって有効かなって思います。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
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