何十年も前に納めた機械を、今も大事に使ってくれている取引先があります。
こんにちは。
大阪・柏原市で、現場に合わせたブリスター包装機づくりをしている、ブリスターパック・ラボのけたろーです。 ここでは、ブリスター包装や周辺工程のことをできるだけわかりやすく書いています。
さて、今回の話題は…
老朽化と、もうひとつのテーマ
その取引先とのお付き合いは、実は親父の代からで、親父が独立する以前から続いています。 当時納めた機械を、自分たちでメンテナンスしながら、いまだに使い続けてくれています。
数年ほど前に新規で購入いただいて、現場からは、他の旧型機がやばくなってきてるから、そろそろ買い替えを検討したい、という声が上がっていました。
最近は保守部品の入手が難しくなってきてるとのこと。 パーツによっては、メーカーの生産中止が決まっているものもあるようで…。 何十年も動かしている機械だから、無理もないです。
先に入れてる「新型」と互換のある仕様で、構想を考えて、見積もりを渡しました。 でも、話を聞いていくと、単純な買い替えの話では済まないことがわかってきました。
その会社さんは、ヨーロッパへの輸出をされています。
ちょうど、ヨーロッパの包装規制(PPWR)が社内でテーマになっていて、今の包装形態のままでいいのか、それとも別の方向に進むべきなのか、議論されているとのこと。
そんな状況だったので、今回の見積もり提案での置き換えでは、規制への対応を考えると難しい、ということになりました。買い替えるにしても、「何に」買い替えるのかの方向性が定まっていない状態だったんです。
そこで、台紙二重化を提案してみた
ヨーロッパの規制を懸念されているとのことで提案したのが、台紙二重化という選択肢でした。 現状の溶着タイプのブリスター包装では、台紙(紙)と容器(プラ)の分別が簡単にできないので、その点が規制の対象になってしまう。
二重化にすれば、分別しやすい構造にでき、且つ、樹脂の使用量を抑えることもできるので、ヨーロッパの規制が求める方向性とも相性がいいんです。 単なる老朽機の更新ではなく、規制対応も見据えた提案として、うちで作ったサンプルを渡して話をさせてもらいました。
現場担当の反応は、悪くありませんでした。 むしろ、前向きでした。 使っている機械が古いので、新しくしたい。 「それなら、今の悩みも解消できそうですね」というニュアンスで、話は進みそうな空気だったんです。 が…。
でも、話は進まなかった

残念ながら、そこから先に進みませんでした。 理由を整理すると、「壁」は、一つではありませんでした。
まず、設備投資という面では、社長の判断が必要になります。
現状の旧型機械は、償却がもうとっくに終わっています。「まだ動いている」という状態は、裏を返せば、投資の優先順位が上がりにくい状態でもあるんですよね。 その会社さんは、その点をかなりシビアにみられます。 以前からそういう傾向がありました。
でも、今回の話は、それだけでは済まなくって…。
台紙二重化は、単なる設備更新ではなく、包装デザインそのものに関わる話だからです。
一般的に、自社製品を持っていて、包装工程まで行っている会社では、包装デザインを決めるのは企画部門であり、現場はそれを実行する側という構図になっていることが多いです。
デザインを企画が決めて、現場が包装作業をする。
そんな構図の中では、機械が古いとか、作業がしにくいとか、そういった現場の実情は、デザインがガラッと変わって、「新しい機械がどうしても必要」という話でない限り、機械への実態は企画のところまで届かないんです。
よほど、企画の担当が現場好き、機械好きでない限り、現場の状況は「蚊帳の外」というケースが多い傾向にあります。 結局、今回のケースでは、社長の投資判断と、企画のデザイン判断の二つの「壁」が重なっていたということです。
現場の理解だけでは、進まない
ここで、ボクが感じていることがあります。
現場に理解してもらうことは、もちろん大事です。 でも、それだけでは、話は前に進まないということです。 本当に届けなければいけないのは、投資を判断する社長と、デザインを判断する企画、両方に対してです。

特に企画の方には、現場の実情そのものが伝わっていないケースが多いように感じています。 機械の古さや作業のしにくさは、日々の業務では見えにくい情報だからです。 加えて、機械上の処理スペックも同様にです。
機械での加工限界を把握しきれていない場合もあったりします。 なので、現場は知恵を絞って無理やり処理してる場合もあるようです。 そういうケースでは、機械は当然、無理をすることになります。
処理はできる、でも、自由度がない… そんな感じ。 ちょっと余談でしたが。
ヨーロッパの規制動向と、樹脂調達をめぐる不安定さ。 両方の事情を踏まえた上で、「今、何を、どう備えておくべきか」を、投資を判断する立場、デザインを判断する立場、それぞれと一緒に整理できたらと思っています。
現場の声だけでは進まない話も、判断材料さえ揃えば、動き出すことがあります。 その材料を、社長にも、企画にも届くように揃えるところから、お手伝いできることがあるはずです。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
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