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ブリスター包装での自動化が失敗する本当の理由。 機械の前に、まず「資材」を疑ってください。

「機械を入れたのに、動かない。」 こういう報告を受けることがあります。 たいていの場合、真っ先に疑われるのは機械です。 「調整が悪いんじゃないか」「設計がまずいんじゃないか」と。 

でも、ボクの経験上、原因の多くは機械ではありません。 問題は、機械に投入される「資材」の側にあることがほとんどなんです。

こんにちは。

大阪・柏原市で、現場に合わせたブリスター包装機づくりをしている、ブリスターパック・ラボのけたろーです。 ここでは、ブリスター包装や周辺工程のことをできるだけわかりやすく書いています。

さて、今回の話題は…

自動化・機械化とは何か? 根本から考えてみる。

そもそも、機械化・自動化とはどういうことか?

一言で言えば「人の動作を、機械に置き換えること」です。

人は自分で判断ができます。 たとえば、

折り目が浅ければ少し力を加えて、外形が揃っていなければ手加減して、詰まりそうなら手前で止めて。

人は五感と経験で、無意識のうちに「いい具合」に調整しながら作業しています。 残念ながら、機械にはそれができません。 もっとも、より多くの資金を投入し、AIなどを駆使すればできるのかもしれませんが、予算に見合うかどうか…。

機械は、製作時に決めた「仕様」を、ただ忠実に、繰り返すだけです。 仕様の範囲内であれば安定して動く。 仕様を外れれば、止まるか、不良を出すか、壊れるか。

それだけです。 つまり、自動化するということを言い換えると、

「人が柔軟に対応していた部分を、機械が正確に対応できる状態に整える」

ことでもあるのです。 機械化とは、機械が動ける環境を整えること。 これが自動化の本質です。

左側に作業着を着た作業者がブリスタートレーに手作業で
製品を丁寧に入れている様子、右側に自動包装機械が
コンベア上のブリスタートレーを処理している様子を
並べた比較イラスト

手作業は「ごまかし」の上に成り立っていることがある

手作業の現場では、資材の品質がある程度悪くても、なんとかなってしまいます。 人が無意識に補正しているからです。 

ブリスター容器の形状が少し揃っていなくても、手で押し込めばなんとか入る。 台紙が少し反っていても、手で矯正しながら置けばシールできる。 ーー「今まで、これでやってこれた」 これは本当のことです。 

でも、それはあくまでも、手作業がベースの話しです。

実際に経験したこと

全自動ブリスター包装機を製作し、機械の立ち上げを行っていたときのことです。 一通りの調整を終え、ユーザーへ使ってみて、様子をみてもらう旨、伝えました。 ブリスター容器の自動供給を含む全自動機でしたが、ブリスターの供給がうまくいかないので見てほしいという報告をうけました。

トラブル報告ということで、現場で状況をみて、供給が問題なくできることを確認した後、引き上げました。 すると、またうまくいかないとのこと。 直したはずだ…。 と思いつつ、また現場へ。 話をきいてると、ブリスターの供給はできるものの、ワークの自動供給がうまく収まらないとのこと。

おかしいな…。 と思い、そのとき何気に、ブリスター容器を確認してみたんです。 すると、外形(全形)に5mm以上の差があるのがみてとれました。 かつ、何気なく手で製品を容器にいれてみたところ…。 入らない。

明らかに、製品よりも容器のくぼみの方が小さいのです。 

「見ていただいてわかる通り、外形寸法が整ってないのが原因です。 また、そもそも容器に製品が入らないのがあるんですよ。」 と、その状況を作業スタッフの主任に確認してもらいました。

なぜ今まで問題にならなかったんですか? と尋ねたところ、手作業で容器に商品を入れていて作業もできていたので、この件の報告は受けていない。 受入検査も行っていないので、こちらの問題です…。 ということになったのでした。 

いちお、その時、機械導入時の担当に、「資材側を確認してください」と伝えていたのですけど、彼からは、『資材は変えれませんので』の一点張り。 さらに驚いたのは、容器メーカーへ問題を伝えたときの返答でした。

「うちも安く受けてる。 この単価なら、こんなもん。」 って。

あきれて返す言葉がでなかったです。

台紙にも、見落とされがちな問題がある

左側に反り・汚れ・変形のある台紙の束と赤いバツ印、
右側にきれいに均一に積まれた台紙の束と緑のチェックマークを
並べた比較イラスト

ブリスター包装で使う台紙には、ホットメルト(溶着剤)が塗布されています。 台紙も、管理状態が悪いと紙同士がくっついてしまうんです。 

1枚ずつきれいに剥がれればいいのですが、くっついた状態で供給されると、2~3枚同時に出てきてしまうことがあります。 手作業なら、供給前に1枚ずつほどいてからセットすることができます。 でも自動供給の場合は、くっついた台紙をほどくことはできません。

台紙の保管環境・管理状態が、ブリスター包装機の安定稼働に直結するのです。 適切な保管方法については、台紙メーカーに確認しておくことをおすすめします。

容器の「剥離しにくさ」も見落としがち

左側に外形がバラついて不均一に積み重なったブリスタートレーの束、
右上にくぼみのサイズ差を赤矢印で示した拡大図、
右下に製品がくぼみに収まりきらない状態を赤矢印で示した
3分割のイラスト

もうひとつ、よくある問題が容器の剥離性です。

ブリスタートレーは積み重ねて保管・納品されてくることが多いですが、寸法が整っていたとしても「手で1枚ずつ剥がしにくい」容器があります。 また、容器メーカーでは、作業コストを下げるために何枚も重ねて形状に抜くという方法がとられます。 

抜いてから、ほぐしてパッキングしてくれれば、まだ剥離しやすくはなるのですけど、納品時の段ボールにキチキチにいれるため、重ねた容器をさらに圧縮して、パッキングされる場合もあります。 この場合も同様、剥離しにくくなるんですよね。 

加えて、そもそもの容器形状の設計がマズい場合もあります。 「抜き勾配」が適切に設定されていなくて、ひどい場合だと逆テーパに近い形になってる。 

剥離しにくい状況は、機械でやっても同じなのです。 人が剥がしにくければ、機械でも剥がしにくい。

機械化するということは、機械で扱いやすい形に資材を整えることでもあります。

剥離性が悪い容器に対しては、エアブローなどの補助機構で対応することも可能ですが、そもそも剥離しやすい容器に設計することが、機械の安定稼働への一番の近道です。

余談ですが…。 

剥離のしやすさだけにフォーカスして、離型剤(いわゆる、シリコンスプレー)などを多用して対応されると、今度はそれが溶着不良の原因になったりするんですよね。 離型剤と溶着は反発しあう関係にあるので、着かないとか、着きにくいという状況を生みます。

なぜ資材の形状・品質が重要なのか? 機械の構造から考える

「資材が整っていないとなぜいけないの?」 って思われるかもしれませんね。 そもそも、なぜ資材の形状・品質が重要なのか?  機械の構造からお伝えします。 

ブリスター包装機で自動供給を行う場合、大きく分けると以下の動作で成り立つよう設計します。

  • 資材をマガジンに積載する
  • 積載した資材を1枚ずつピックアップする
  • ピックアップした資材を機械本体の所定位置へ移載する
  • 位置決めをしてシール・封かんを行う

このとき、資材の形状、特に外形が一定でないと各工程で問題が発生するんです。 

積載時の問題

外形が揃っていない資材をマガジンに積み重ねると、きれいに積み重なりません。 また、同じ資材であるにもかかわらず、マガジンのガイド部分の調整が、あるときはガバガバで、あるときはキチキチでという状況になってしまいます。 傾いたり、ずれたりした状態で積載されると、ピックアップ時に正しい位置から取り出せなくなります。

移載・位置決め時の問題

1枚ずつピックアップできたとしても、資材のサイズが毎回微妙に異なると、機械本体への移載後の「位置」がバラつきます。 位置がバラつくと、シール位置がずれる・容器に製品が入らないなど後工程に影響が連鎖していきます。

機械は「決められた位置に、決められたものが来る」という前提で設計されています。 資材の形状・品質が整っていることは、機械が正しく動くための大前提であり、絶対条件なのです。

自動化をする前に確認すべきこと

ブリスター包装を自動化・機械化を検討するなら、機械の仕様を考える前に、まずこれを確認してください。

  • ブリスター容器の外形寸法は均一か
  • 容器の剥離性は問題ないか
  • 容器に変形はないか
  • 台紙の保管状態は適切か(ホットメルトのくっつき)
  • 台紙の反り・変形はないか
  • 手作業で「騙しだまし」使っている資材はないか
  • 悪い状態の資材も機械メーカーに見せているか

最後の項目が特に重要です。 機械メーカーに資材を見せるとき、よい状態のものだけを見せてはいけません。 最悪の状態の資材で機械が動くかどうか、正直に確認してもらうことが大切です。

そもそも、資材の受入検査を適切におこなっているか? ということが振り出しにあるべきです。

まとめ

自動化・機械化が失敗する理由は、機械ではないことがほとんどです。 

機械は、機械側だけの条件で成立するわけではないんです。 自動化・機械化とは、機械だけの話ではありません。 それにかかわる環境すべてを整えることを指しています。

機械に投入する資材の品質が、自動化の成否を決めるのはもちろんのこと、そこには「人」も含まれます。 『これぐらいならいいや』という人の考え方も、成否をわける要因となりえます。 

作業する人の意識をととのえ、資材の品質を整え、機械が動ける環境の全てを整えることが、自動化・機械化なんです。

もし現在、ブリスター包装機の導入・自動化を検討しているなら、まず現場で使っている資材の状態を整理してみてください。 そこから話を始めることが、一番の近道です。


ここまで、読んでくれてありがとうございます。

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工場内でブリスタートレーを手に持ち困惑した表情の作業者と、 背後に止まったブリスター包装機が写るイラスト。 警告ランプが点灯している。

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Written By

けたろーのアバター けたろー 包装機械相談士/時短設計®士。

包装機械相談士/時短設計®士。

ブリスター包装機と向き合い続けて約40年。
人海戦術が前提になりやすいこの業態で、
機械・設計・使われ方の視点から
現場の改善に関わってきました。

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