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あなたのブリスターパック製品、ヨーロッパで売れなくなるかもしれない。 | ブリスターパック・ラボ

もしかして、「環境対応しています。包材を紙に変えました」 そう言えば大丈夫、と思っていませんか? 実は、ヨーロッパではその常識が、すでに変わっています。

こんにちは。

大阪・柏原市で、現場に合わせたブリスター包装機づくりをしている、ブリスターパック・ラボのけたろーです。 ここでは、ブリスター包装や周辺工程のことをできるだけわかりやすく書いています。

さて、今回の話題は…

「リサイクル」の新しい意味

2025年2月、EU(欧州連合)は新しい包装規制「PPWR(Packaging and Packaging Waste Regulation / 包装・包装廃棄物規則)」を発効させました。 そして2026年8月12日から、EU加盟国全域で直接適用が始まります。

「指令」ではなく「規則」として制定されたこの法律は、各国がそれぞれ国内法化するのを待たず、EU域内に一律で効力を持ちます。

つまり、「うちはドイツ向けじゃないから」「フランスの規制は把握してます」では済まなくなったということです。 国別ではなく、EUに加盟している国全部がそれに従うというわけです。

ブリスター包装を使っている、または検討している事業者にとって、これは他人事ではありません。

PPWRがこれまでの規制と大きく異なる点があります。それは、「理論上リサイクル可能」では不十分、という評価軸の転換です。 今後は、

  • 消費者が正しく分別できるか
  • 回収後、選別設備で素材ごとに仕分けられるか
  • 分けた後に、実際に再生材として使える品質があるか

この3つが問われます。

ブリスター包装の構造 ──紙台紙+透明プラスチック成形品── の観点で見たとき、「使い続けられるか否か」の分岐点にあるということです。

昔から言われてきた問題であり、課題。

しっかり固定したいがために強固なヒートシールや全面接着を採用したブリスター包装は、消費者が紙とプラスチックを手で分けられない構造になっています。

欧州の規制では、このような「分離困難な複合構造」は今後不利になる、と明確に示されています。 

分けられない包装は、まとめて「燃やすゴミ」か「一般廃棄」に出されてしまう。素材がどんなに良くても、回収ルートに乗らなければ、リサイクルの評価はゼロです。

なお、リサイクル適性の評価は消費者の手分別だけでなく、近赤外線(NIR)選別・比重分離・洗浄工程など、実際の再資源化工程での適合性まで含めて見られます。

「紙に変えれば安心」の誤解

「じゃあピロー包装や紙箱に切り替えれば問題ない?」 と思われるかもしれませんし、ここ最近では、PET容器ではなく紙を容器形状にした「紙ブリスター」と呼ばれる形態へ移行されているところもあります。

でも、残念ながら、そう単純ではなさそうです。

  • 多層フィルム・ラミネートを使ったピロー包装 
    →  リサイクル性が低いと評価されるケースあり
  • 窓貼り・樹脂コーティング入りの紙箱  
    →  紙リサイクルの適性が落ちる可能性あり

結局、バリア性などの機能を持たせるためにフィルムなどをラミネートしたり、コーティングなどを行っていると、「紙単体」とは見せず、リサイクル性が落ちるという判断になるようです。

欧州は「見た目のプラ削減」ではなく、「実際に分けられて、実際に再資源化できるか」という実効性を問う方向に進んでいます。

プラ使用量を抑えながら、商品の視認性をある程度保つ方法として「台紙を二重にする構造」という選択肢もあります。 ただし、これも分別性・接着剤の使い方によって評価が変わります。

👉 台紙二重化(ダブルブリスター)とは?設計のポイントを解説

実際に、欧州輸出をきっかけに台紙二重化をご提案した事例も記事にしています。あわせてどうぞ。

 国別の追加要件

PPWRというEU共通ルールに加えて、各国が独自の要件を持っています。

フランスTrimanロゴ+InfoTriによる部材別分別表示が実務必須
イタリア包装材ごとの材質識別コード(PET=1、PP=5 等)の表示義務
ドイツLUCID包装登録、デュアルシステム参加など、EPR実務が重要
スペイン家庭向け包装で分別先・回収容器を示す表示が義務化

欧州複数国に展開している場合、それぞれの国で「対応済み」かどうかの確認が必要です。

作業台の上でブリスター包装の紙台紙と透明プラスチックトレーを手で分けているイラスト。左右にそれぞれ紙用・プラスチック用のリサイクルボックスが置かれている。

チェックリスト。

設計現場の視点から、実務的なチェックリストを整理します。

✔ 消費者が「手で」紙とプラを分けられる構造になっているか?

剥がし口・タブ・ミシン目・分離誘導の有無を確認

✔ 分離後、紙台紙は紙回収のルートに乗れるか?

樹脂コート・接着剤の面積・量を見直す

✔ プラスチック成形品の材質が特定・管理されているか?

PET / rPET / PP / PVC の明確化と表示準備

✔ 色・印刷・接着剤が NIR(近赤外線)選別の障害にならないか?

素材メーカーや資材調達先への確認が必要

✔ 包装の空間率は適切か?

過剰包装と見なされないサイズ・形状の見直し

✔ 分別表示のスペースが確保されているか?

多言語・ピクトグラム・QRコード対応を想定した台紙設計

✔ 販売国のEPR登録・包装材データ提出に対応できる体制があるか?

ドイツ向けはLUCID登録、素材重量の管理が必須


ブリスターパック・ラボとして、環境対応への考え方をまとめたページもあわせてご覧ください。

👉 ブリスター包装と環境への取り組み

まとめ。

ブリスター包装は、透明性・防犯性・商品視認性という優れた特性を持つ包装形態です。 欧州規制も、ブリスターそのものを禁止する方向ではないようです。 

問われているのは、現在の地球環境への対策に向けて、「使い続けるための構造を持っているか」です。

  • 分離できる設計。
  • 説明できる素材構成。
  • 対応できる表示。

この3つを備えたブリスター包装は、環境規制の中でも十分に扱っていけます。 

逆に言えば、今のうちに設計を見直した企業が、欧州市場での「信頼できるサプライヤー」というポジションを先に取れる可能性があります。 

後から変えようとすると、コストも時間もかかります。 規制が本格化する前に…。 

「今の設計で、本当に大丈夫か?」を問うタイミングは、今です。 すでに欧州向けに製品を展開されている場合でも、これから目指されている場合でも…。

欧州向け包装の対応、一緒に考えませんか。

「どこから手をつければいいかわからない」「今の包装で問題があるのかどうかも不明」── そんな段階でも、まったく構いません。 ブリスター包装の構造・素材・表示について、現状を整理するところからお手伝いします。包装機の設計・製作も含め、トータルでご相談ください。


ここまで読んでくれてありがとうございます。


まだ何も決まっていない段階でも、相談できます。
※ 大青鉄工の相談窓口ページへジャンプします。


ブリスターパック・ラボは、
有限会社大青鉄工(ダイセイテッコウ)が運営しています。
https://www.daisei-ironworks.co.jp/

参考資料

・EU EUR-Lex|Regulation (EU) 2025/40 on packaging and packaging waste
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=OJ:L_202500040

・EUR-Lex summary|Packaging and packaging waste (from 2026)
https://eur-lex.europa.eu/EN/legal-content/summary/packaging-and-packaging-waste-from-2026.html

・European Commission|Packaging and Packaging Waste Regulation
https://environment.ec.europa.eu/topics/waste-and-recycling/packaging-waste/packaging-packaging-waste-regulation_en

・RecyClass|Design for Recycling Guidelines
https://recyclass.eu/protocols-guidelines/design-for-recycling-guidelines/

・TCEP Europe|Design Guidelines for PET trays
https://www.tcep-europe.org/design-guidelines

・CEFLEX|Recyclability guidance for flexible packaging
https://guidelines.ceflex.eu/guidelines/recyclability/

・ZSVR Germany|LUCID Packaging Register / VerpackG
https://www.verpackungsregister.org/en/

・CONAI Italy|Guidelines for environmental labelling of packaging
https://www.etichetta-conai.com/wp-content/uploads/2021/11/GUIDELINES_for_the_environmental_labelling_of_packaging_27.09.2022.pdf

・UL Solutions|Environmental Labeling of Packaging – Spain
https://www.ul.com/resources/environmental-labeling-packaging-spain

・European Commission Press Corner|France referral concerning Triman/Info-Tri labelling
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/sv/ip_25_1834

・Packaging Europe|Mono-PET blister tray certified as recyclable by Petcore
https://packagingeurope.com/news/mono-pet-blister-tray-certified-as-recyclable-by-petcore/12269.article

港の荷下ろし場でブリスター包装を手に持ち、紙台紙とプラスチック成形品が分かれるイメージを頭に浮かべながら考え込む工場担当者のイラスト。背景にEUマーク入りのコンテナと貨物船。

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Written By

けたろーのアバター けたろー 包装機械相談士/時短設計®士。

包装機械相談士/時短設計®士。

ブリスター包装機と向き合い続けて約40年。
人海戦術が前提になりやすいこの業態で、
機械・設計・使われ方の視点から
現場の改善に関わってきました。

ブリスターパック・ラボでは、
装置そのものではなく、
「現場でどう使われるか」までを含めて考えています。

無理のない作業、
止まらない工程、
続けられる包装。

このサイトが、
現場と向き合うための
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