「ちょっとシール不良が増えてきたんですよ。上に伝えたら、また修理で対応してって言われて。」 ーーブリスター包装機を使う現場の担当者から、こういう話を聞くことがあります。
こんにちは。
大阪・柏原市で、現場に合わせた
ブリスター包装機づくりをしている、
ブリスターパック・ラボのけたろーです。
ここでは、ブリスター包装や周辺工程のことを
できるだけわかりやすく書いています。
さて、今回の話題は…
ブリスター包装機が出している「限界のサイン」
溶着の甘さ、包装時のズレ、ロスの増加。
まぁまぁ年季の入った機械を使っていて、それなりの「急所」は熟知してるつもり。 上から言われなくても、必要箇所は部品を変えて対応もしてる。
これは現場からすれば、生産効率や生産性にも関わってくることなので、その窮状を管理部門や本社に伝えるわけだけど、彼らの答えは、毎回「修理で様子を見て」で終わって、設備更新の話は、いつも後回しになる。
「何回言っても変わらんから、あきらめた。言われたことだけしとく。」 という感じで、そのうち、伝えること自体をやめてしまった…。 という現場を、実際に見たことがあります。
その間にも、ブリスター包装機は静かに、限界へと近づいていきます。
バスタブ曲線
機械設計の世界には「バスタブ曲線」という考え方があります。

機械の故障率を時間で表すと、導入初期・安定期・老朽期の3段階があり、老朽期に入ると故障リスクが急激に上がる——という曲線です。 御多分に漏れず、ブリスター包装機も同じです。 老朽期に入りつつある機械は、止まる前に必ずサインを出しています。
- 溶着温度の安定が出にくくなってきた
- シール不良の頻度が以前より増えた
- フィルムの送りがときどきズレる
- ロスが少し増えた気がする
- ベテランの「勘・コツ」でなんとか回っている
どれも「止まるほどではない」。 でも、これらはすべて機械が出しているアラート(警告信号)です。
「パーツの交換」で対応できる劣化と、できない劣化がある

ブリスター包装機は、構造が比較的シンプルな機械です。
特に古い機械ほど、もっとシンプルに作られているため、故障しやすい特定のパーツだけを交換しながら、長年使い続けることができます。 現場でもそうやって維持しているところが多いのだと思います。
ただ、ちょっと注意していただきたいのが、経年劣化とは「見えているパーツだけが劣化すること」ではないということです。 当然、機械全体が劣化します。 具体的には、電気配線やエアー配管も含まれます。
ヒーターや駆動部品と違い、配線や配管はメンテナンスの対象になりにくい。 日常点検の目が届きにくく、外から見ても劣化がわかりにくいんです。 こと、電線は経年によって被膜が硬化・ひび割れし、漏電のリスクをはらんでいきます。 また、堆積した埃や油分でショートするリスクも高まります。
「じゃぁ、配線をやり替えて、きれいにすればいいのでは?」と思われるかもしれませんね。
でも、配線を全部引き直す作業は、機械を一度ほぼ解体することになります。 ある程度年季の入った機械なら、その手間とコストを考えると、新規で機械を製作する方が、結果として費用対効果が高く、安全面でも確実に水準を上げられることが多いです。
修理を繰り返しながら使い続けることが「節約」に見えても、見えないところで劣化が進んでいる機械を使い続けることは、コストではなくリスクの先送りということにつながります。
現場の「おかしい」が、なぜ上に伝わらないのか
電気系の設計には「信号の減衰」という概念があります。発信された信号は、距離が離れるほどノイズに埋もれて弱くなる。受け取る側に届くころには、元の強さとは別物になっている。

現場からの管理部門・本社への報告も、これと同じです。
「シール不良が増えてきた。これはヤバイ」という現場のリアルな肌感覚が伝わらない。作業性改善の目的で取得した新規装置への見積もりも、上からすれば「修理して使えているなら、新しいものは要らない」という判断で却下。
減価償却がとっくに終わった設備に、あらためて投資するのはもったいない——そういう理屈が出てくる会社も少なくないようですよね。
でも、この判断には大きな見落としがあります。
管理部門・本社が見ているのは売上とコストです。 機械が動いている限り、数字の上では、順風に「問題なし」に映る。
「修理で対応」を続けるコストは、見えにくい場所に積み上がっている
でも実際では、見えないコストがじわじわと積み上がっています。
- シール不良による製品ロス
- 再調整・再段取りの時間ロス
- 品質のばらつきによるクレーム対応
- ベテランの「勘」に頼り続けるリスク
加えて、スタッフへの作業負荷もそうです。 これらは確実に、現場の生産効率と品質を削っています。
設備への投資を「出費」と見るか「先手の判断」と見るか。機械が完全に潰れてしまってからでは、取り返しがつかないことは自明なのです。
そのとき初めて「早く動いておけばよかった」という話になる。でも、そのタイミングで動くコストは、計画的に更新するより何倍も大きいんです。
先手先読みの判断に欠けているのは、現場ではなく、現場の声が届いていない意思決定の側なのかもしれません。
「なんか最近おかしい」を、そのまま話してください
機械の更新への検討は、止まってからでは遅いんです。
「シール不良が増えてきた気がする」「ロスが増えた」「ベテランの感覚で回っている」——その段階が、一番動きやすい。
仕様が決まっていなくてもいい。修理か更新かの判断がついていなくてもいい。「現場でこういう状態になっている」という話からで構いません。
むしろ、仕様が決まっていない方がラッキーかもしれません。 今までの作業性や抱えてきた問題を盛り込めるからです。
ブリスターパック・ラボでは、機械の提案より先に、まず現場の状況を一緒に整理します。現場の声を整理して、上に伝えるための材料づくりも、一緒にできます。
良いブリスター包装機が現場に入るためには、現場の言葉が正確に届く環境であることが、実は一番大切な設計条件だと思っています。
ブリスター包装は機械側だけでなく、作業性や運用まで含めて、なるべくトータルで考えた方が作業効率がよくなることが多いです。 導入が決まっていない段階でも、現状の整理や考え方の確認から対応しています。
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