「人手不足で回らない。でも、どこから手をつければいいかわからない。」そんな相談を受けたのが、この事例の始まりでした。
こんにちは。
大阪・柏原市で、現場に合わせた
ブリスター包装機づくりをしている、
ブリスターパック・ラボのけたろーです。
ここでは、ブリスター包装や周辺工程のことを
できるだけわかりやすく書いています。
さて、今回の話題は…
作業者の人数を数えてみると、14人。
歯ブラシのブリスター包装工程で、欠勤が出るたびに生産能力が落ち、受注をこなせない状況が続いていました。

まず、なぜ14人必要だったのかを整理した
結果的に、作業人数を14人から5人に削減することができたんですけど、この事例でのポイントは「何人減らせたか」ではないんです。
現場を見せてもらったとき、最初に気になったのは各工程での「溜まり」でした。
ブリスター包装で一般的な木型プレス方式では、複数個を一度にシールします。一見すると効率よく見えるし、そう感じます。担当の方は、「一気にたくさんできて、すごいでしょ!」と、自慢げに話されるんですけど、実態は違うのです。
歯ブラシの場合は、ほとんどの作業所では木型に12個どりのパターンを採用し、容器も台紙も1面タイプの資材を使って、シールした後で製品の大きさにカットするというのが主流です。
作業人数は、
- 木型へのトレー投入:3〜4人
- カット工程:2〜3人
- 検品・箱詰め:4〜5人
- 段取り・補充:1〜2人
という感じです。
作業は一連で行われず、各工程のために「タマ」を溜めていくという方法で進められます。そのため、工程の前では仕掛かりが増えます。加えて、カットの工程の後にはゴミがでるため、ゴミ処理・片付けに人力が必要になります。
結局、「一度にたくさん」が、逆に人手を増やしていたわけです。
機械を入れる前に、工程を根本から見直した
問題は、既存機での工程の考え方にありました。提案したのは、方式の変更です。
現状の根本的な問題は、1枚ものの資材をつかうことにあると考え、
- あらかじめカット済みのトレー・台紙を使う
- 溶着後カットを行わない工程に変更
- リブ付きトレーを採用して品種替えの問題も同時に解消
という方法への転換を薦めました。
資材様式を変更することで、単価は一部上がります。それとは逆に、
- カット工程がなくなりゴミ処理の人や処理にかかる費用も不要になる。
- 歩留まりが改善されてリードタイムも短くなる。
という状態がうまれ、トータルで見ると、コストは大幅に下がりました。
省人化の本質は、「人を減らすこと」ではありません。「人が必要な理由をなくすこと」です。
14人から5人へ。そして、現場の空気が変わった

装置の導入後、作業人数は14人から約5人に。
数字だけ見ると「人を9人減らした」ように見えます。でも実際に起きたのは、「その9人が別の仕事に集中できるようになった」ということです。
もうひとつ、大きな変化がありました。
以前は「欠勤が出ると生産が止まる」という不安がありました。受注があっても、スタッフがいないので失注につながってしまうというリスクがあったわけです。また、人員を確保できたとしても、作業には得手不得手があるため、作業分担を決めるのにも手間があります。
作業リーダーには、それなりの負荷や責任があったというわけです。
導入後は「5人いれば回る」という安心感とともに、機械化で作業の平準化が図れたことでリーダー側の負荷も下がり、現場の空気が、確実に変わりました。
機械を入れると現場が変わる。そう思われがちなのですが、正確にはニュアンスが異なります。
現場が変わるのは、機械が入ったことで「人の役割が整理されたとき」なんです。
この事例から学べること
今回の事例で学べたことがあります。
- 「人が多い」のは、工程に無駄があるサインかもしれない
- 省人化の前に、なぜその人数が必要なのかを整理する
- 機械のスペックより、工程の設計が先
- 資材のコストより、工程全体のトータルコストで考える
- 省人化は「人を減らす」ではなく「人の役割を整理する」こと
「うちも人手不足で困っている」という場合、まず今の工程を観察してみてください。
なぜその人数が必要なのか? どこで溜まっているか?
答えはだいた、そのあたりにあります。
まとめ
14人から5人への省人化は、機械を入れただけで実現したわけではありません。工程を整理して、方式を変えて、資材を見直した結果です。
でも、一番大きいのは、その見直しを受け入れるかどうかの「決断」なのだと思います。
概ね、「今はこれでやってるんで…」とか、「業界はこの方法で…」といった、踏襲型が多いのは事実です。変化を受け入れたことで、大きな一歩を踏み出せたということです。
「機械を入れたい」という相談でも、まず工程の話から始めます。それが、現場で使われ続ける機械につながるからです。
ここまで、読んでくれてありがとうございます。
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